KDDIや日清が挑む「インパクト会計」、ポストESG時代の新常識となるか

(写真左から)柳 良平・矢野絹子・横山之雄・佐竹 亮・五十嵐剛志

五十嵐:インパクト会計は、創業時の創業者の志に立ち返る側面があるが、五常・アンド・カンパニーのようなインパクト・スタートアップの場合、最初から経営トップのコミットメントがビルドインされ、ビジネスモデル自体もインパクト会計の趣旨に則しているとも言える。一方で、日本ではインパクト会計に対する投資家の理解というのがまだ追いついていないとも感じる。インパクト会計はバリュエーションを変えるひとつの手段でもあるはずで、IPO時のインパクトプレミアムやM&A(合併・買収)時の企業価値評価にも使える数字であるはずだ。

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柳:残念ながら日本の資本市場はインパクト会計が投資判断を動かすプレイヤー数、金額が極めて限定的だというのが現実だ。ただ、日経QUICKによる国内を中心にした投資家アンケートでは、インパクト会計や柳モデルのような非財務資本の可視化の取り組みについて、6割程度の投資家が評価するといった声もある。変化の速度は緩やかだが、動きが出てきていることは間違いない。

私が日本法人の副社長を務める英投資会社M&Gインベストメンツでも、本国幹部が話を聞く、投資判断に配慮する姿勢は出てきている。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)にもインパクト会計などについて説明する場面も出てきているなど萌芽は間違いなくある。各社の開示や対話の取り組みが功を奏しているからだ。現在、世界を見渡した場合、インパクトについてのバックラッシュがあるのは確かだ。ただ、VBA・CEOのクリスチャン・ヘラーが来日時に「ヨーロッパは揺らがないし、日本が事業会社での適用で世界トップクラスなので、大いに期待している。今こそ日本とヨーロッパが支える時だ」と述べたように、本日議論した皆様のように先行事例をつくり、日本発で世界をリードしていくために、皆様とともに頑張っていきたい。

五十嵐剛志◎公認会計士、KIBOW社会投資 インベストメント・プロフェッショナル。慶應義塾大学経済学部卒業、英国オックスフォード大学経営学修士(MBA)。PwC Japan有限責任監査法人、内閣府、米ハーバード・ビジネス・スクールインパクト加重会計イニシアチブ、英インパクト投資ファンド Better Society Capitalを経て現職。元Teach For Japan最高財務責任者。インパクトスタートアップ協会監事。
五十嵐剛志◎公認会計士、KIBOW社会投資 インベストメント・プロフェッショナル。慶應義塾大学経済学部卒業、英国オックスフォード大学経営学修士(MBA)。PwC Japan有限責任監査法人、内閣府、米ハーバード・ビジネス・スクールインパクト加重会計イニシアチブ、英インパクト投資ファンド Better Society Capitalを経て現職。元Teach For Japan最高財務責任者。インパクトスタートアップ協会監事。

KEYWORD 4|「IMPACT THE NEW CHAPTER」シリーズ:『Forbes JAPAN』では、「インクルーシブ・キャピタリズム(包摂的な資本主義)」を前進させる、持続可能な経済成長の新たな担い手である「インパクト」をテーマにした特集を企画してきた。2025年3月号では「IMPACT THE NEW CHAPTER」特集で、大企業、スタートアップ、金融・資本市場、官、地域で拡張し、新章を歩み始めたインパクト・エコノミーに注目した。本座談会も同シリーズ関連企画となる。

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文=山本智之 写真=平岩 亨

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