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2025.09.17 12:00

米国のスポーツチームオーナー長者番付2025年版、1位はMS元CEOのバルマー

スティーブ・バルマー(Photo by Leon Bennett/Getty Images)

スティーブ・バルマー(Photo by Leon Bennett/Getty Images)

フォーブスが9月9日に発表した米長者番付「フォーブス400」に名を連ねる上位20人のスポーツチームのオーナーの資産は、2024年比で20%増加し、合計6070億ドル(約89兆円。1ドル=147円換算)に達した。最低資産額も101億ドル(約1兆4900億円)に上昇した。

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中でもヘンリー・サミュエリの資産は過去3年間で大きく膨らみ、2022年の推定67億ドル(約1兆円)から現在の277億ドル(約4兆円)へと4倍以上に増加した。この資産の増加の一部は、彼が保有するNHLのアナハイム・ダックスに支えられている。サミュエリが2005年に7000万ドル(約103億円)で買収した同チームの評価額は、彼のオーナー在任中に約1800%上昇し、13億ドル(約1911億円)に達している。

しかし、サミュエリがアイスホッケー事業以外で得た利益はさらに大きい。半導体メーカー、ブロードコムの会長兼共同創業者である彼は、人工知能(AI)ブームの恩恵を享受している。急成長するAI産業に不可欠なハードウェアを手がける同社の株価は、1年前の163ドルから8月末には279ドルへと上昇し、エヌビディア、クアルコム、AMDといった競合他社を大きく上回るパフォーマンスを記録した。

この株価の上昇によって、サミュエリは米国のスポーツチームオーナーの長者番付で急浮上し、2022年の16位、2023年の12位、昨年の8位から今年は4位に躍進した(米国の富豪を対象とする「フォーブス400」全体では、70歳の彼は34位にランクインした)。

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しかし、株価の上昇で大きな利益を上げたのはサミュエリだけではない。ロサンゼルス・クリッパーズのオーナーであるスティーブ・バルマーは、本ランキングで11年連続の首位を維持し、4月に発表された世界のスポーツチーム所有者の長者番付でも1位に立った。彼の資産は、自身がかつてCEOを務めたマイクロソフトの株価が前年から21%上昇したことで、1530億ドル(約22兆4910億円)に膨らみ、2位のウォルマート一族の出身でデンバー・ブロンコスを所有するロブ・ウォルトンを350億ドル(約5兆1450億円)引き離した。バルマーを上回る資産を持つ富豪は、米国全体でもわずか6人しかいない。

今年のランキングで6位につけたロバート・ペラの資産も、株価の上昇の恩恵を受けている。彼が2003年に創業したワイヤレス機器メーカー、Ubiquiti(ユビキティ)の株価は、ここ1年で194ドルから528ドルへと2倍以上に跳ね上がり、ペラの純資産は140%増の240億ドル(約3兆5280億円)に急増した。これはサミュエリの64%増を上回る唯一の例となった。ペラが所有するメンフィス・グリズリーズは、NBAで最も評価額の低いチームだが、フォーブスの最新の試算によると評価額は1年前から6億ドル(約882億円)上昇し、30億ドル(約4410億円)に達している。

米国のスポーツチームのオーナーの長者番付の上位20人の資産総額は推定6070億ドル(約89兆円)に達し、2024年の5040億ドル(約74兆880億円)から20%増加した。彼らが経営権を握るチームには、NBAの11チームやNFLの8チーム、メジャーリーグサッカー(MLS)の5チーム、NHLの4チーム、欧州男子サッカーの2チーム、さらにMLBやイングランドの女子スーパーリーグ(WSL)などのチームが含まれている。

この20人の一群に加わることは、以前にも増して難しくなっている。今年のトップ20の最低資産額は101億ドル(約1兆4847億円)で、マイアミ・ヒートのオーナーでクルーズ船運営会社カーニバル・コーポレーションの会長を務めるミッキー・アリソンと、プライベートエクイティで財を成したデトロイト・ピストンズのオーナー、トム・ゴレスが同額で並んだ。この最低ラインは、わずか3年前の66億ドル(約9702億円)から53%上昇した。

一方、クリーブランド・キャバリアーズのオーナーであるダニエル・ギルバートは、今年唯一、資産を減らしたメンバーとなった。しかし純資産が19%減の267億ドル(約3兆9249億円)に落ち込んでも、ロケット・カンパニーズ創業者の彼がトップ20から脱落する心配はない。同様に、不動産業で財を築いたマイアミ・ドルフィンズのオーナー、スティーブン・ロスの資産も横ばいの170億ドル(約2兆4990億円)だったが、ランキングにとどまった。

また、2024年から新たに加わったのは、マイアミ・ヒートのオーナーのアリソンと、ホーム・デポの共同創業者でアトランタ・ファルコンズとMLSのアトランタ・ユナイテッドを所有するアーサー・ブランクの2人だった。一方で、フェニックス・サンズとWNBAのフェニックス・マーキュリーを所有するマット・イシュビアは、上場企業ユナイテッド・ホールセール・モーゲージの不振で資産が28%減の95億ドル(約1兆3965億円)に落ち込み、昨年の13位からランク圏外に沈んだ。また、ケーブルテレビ業界のビリオネアでアトランタ・ブレーブスの持ち分を保有していたジョン・マローンも圏外となったが、これは今回から本ランキングの集計基準が、上場企業が保有するチームはランキングを対象外とするよう変更されたからだ。

下記に米国のスポーツチームオーナーの富豪ランキングの2025年版を掲載する。

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翻訳=上田裕資

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