北米

2025.09.17 13:00

トランプ政権と対立が続くカリフォルニア州、高速鉄道に2.9兆円支援

カリフォルニア高速鉄道プロジェクトのサン・ホアキン川高架橋区間の建設工事(Robert Gauthier/Los Angeles Times via Getty Images)

チョードリCEOが新構想、データセンターや太陽光発電で費用抑制へ

グローバルなインフラ事業分野のベテランで、昨年から高速鉄道計画のトップを務めているチョードリは先月、新たな事業計画を公表した。この計画は、建設を加速させるとともに、広大な土地資産から新たな収入源を確保し、総費用を抑えることを狙う。具体的には、鉄道の敷地にテック企業がデータセンターを建設し、それを太陽光発電所で稼働させ、その電力で列車も動かすといった構想を含んでいる。

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フレズノなど地価の安い都市で不動産開発も推進

他にも、鉄道ルート沿いに通信会社が光ファイバーを敷設したり、携帯電話基地局を設置したりする権利の販売や、広告や駅の命名権の提供、電気自動車(EV)の充電サービス、さらに不動産開発を促進するプロジェクトなどが盛り込まれている。この計画は、特にフレズノやベーカーズフィールドといった比較的地価が安いセントラルバレーの都市を対象としている。

トランプ政権が撤回した5880億円の補助金、1万5000人の雇用への影響は

新たな資金計画が決まる前、このプロジェクトは州の資金を中心に約270億ドル(約4兆円)を確保していた。その中には、ショーン・ダフィ運輸長官が7月に取り消した40億ドル(約5880億円)の連邦補助金も含まれていた。ダフィ長官は「プロジェクトが承認されてから今日まで、1マイルの線路すら敷設されていない」と指摘した。だが実際には、橋やトンネル、高架橋など線路敷設より時間を要する準備工事がすでに大規模に進んでいる。また、雇用されている労働者も1万5000人を超える。この未使用の資金を取り戻すためにカリフォルニア州が起こした法的争いは、数カ月から数年単位の時間を要する見込みだ。

米国は現在、欧州や日本、中国、韓国をはじめとする数十の国々ですでに一般的となっている高速鉄道分野で出遅れている。公共事業が難航する一方、ビリオネアのウェス・イーデンスは、ラスベガスとロサンゼルス郊外を結ぶ民間の高速鉄道「ブライトライン・ウェスト」を数年以内に走らせる計画を立てている。この事業にはバイデン政権から30億ドル(約4410億円)の連邦資金が投じられた。

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元運輸長官も評価、画期的なプロジェクトの最も重要な前進

「我々は、ニューサム知事と州議会のリーダーたちの高速鉄道の成功に向けての努力と決意を称賛する」と、高速鉄道の推進団体U.S. High Speed Railの共同議長で元運輸長官のレイ・ラフードはEメールでコメントした。「今回の合意は、この画期的プロジェクトにとってこれまでで最も重要な前進を意味する」と彼は続けた。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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