WOMEN

2025.09.17 17:30

メリンダ・フレンチ・ゲイツ、女性特有の健康課題の解決に向け150億円の取り組み

2025年9月10日、「フォーブス・パワー・ウィメンズ・サミット」で講演するメリンダ・フレンチ・ゲイツ(Photo by Taylor Hill/Getty Images)

ドブス判決で女性の権利が後退――行動の引き金となる

フレンチ・ゲイツにとって、今回の取り組みは女性の権利をめぐるより大きな闘いの緊急性を示すものであり、同時に非常に個人的な意味を持つものでもある。「ドブス判決(中絶の合憲性を認めたロー対ウェイド判決を覆した最高裁判決)は、私にとって行動を促す呼びかけだった。私の2人の孫娘が、私自身よりも少ない権利しか持てないなんて、到底考えられない。昨春、私はルイジアナを訪れ、患者や医療従事者の女性たちと時間を過ごし、女性の健康が過去に引き戻された場所での体験を聞いた。そこで耳にしたのは、怒りを覚えずにはいられない話ばかりだった。防げたはずの死産の影に一生苦しむことになった女性。出産の現場に常備されてしかるべき薬へのアクセスを制限し、女性の命を政治の道具にしている政策立案者たちに立ち向かうため、すべてを賭けているドゥーラ(出産支援者)。そうした証言は、医療制度がいかに女性を見捨てているかを物語っていた」。

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デューガンは今回のパートナーシップを、長らく停滞してきた潮流を変える機会だと捉えている。彼女はこう語る。「あまりにも長い間、女性たちは本来なら治療できるはずの症状を耐え忍ぶよう求められ、『解決すべき課題』ではなく『不可解なもの』として受け入れるよう押しつけられてきた。今こそ、歴史的な誤りを正し、存在してはならなかった格差を埋め、世界人口の半分を占める女性にふさわしい科学と医療、ケアを届ける時だ。女性の健康におけるブレークスルーは偶然に委ねるものではなく、選択の問題だ。時は来た。女性たちはもう十分に待たされた」。

この1億ドル(約147億円)規模の取り組みは、ゴールではなく変革を引き起こすための出発点と位置づけられている。2020年にウェルカム・トラストによって設立されたウェルカム・リープは、DARPA型のモデルを人間の健康分野に応用し、医療のブレークスルーを追求してきた。そのネットワークは現在、6大陸に広がる160の機関を結びつけ、150万人以上の研究者をつないでいる。

目標は、1470億円の慈善資本によるブレークスルーの加速

この新たなパートナーシップにより、ウェルカム・リープが女性の健康研究に投じる資金は合計2億5000万ドル(約368億円)となり、10億ドル(約1470億円)の慈善資本を集めるという目標に向けて着実に前進している。同団体は、女性に不均衡な影響を及ぼしてきた疾患の治療や研究の飛躍的な進展を実現することを掲げている。ピボタル・ベンチャーズの資金と発信力を組み合わせることで、フレンチ・ゲイツとデューガンは、長年見過ごされてきた疾患にも従来よりはるかに早く対応できることや、その恩恵が女性にとどまらず社会全体に及ぶことを示そうとしている。

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突き詰めれば、このパートナーシップは「招待状」の役割を果たすことになる。政策立案者、慈善家、投資家、科学者──誰もが女性の健康を喫緊かつ不可欠な課題として扱う責任を担っている。フレンチ・ゲイツとデューガンは、長らく「避けられないもの」とされてきた現実が変えられると信じている。女性の健康はようやく社会の中心課題に位置づけられた。その遅れを放置すれば、社会全体が払う代償はあまりにも大きい。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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