ビジネス

2025.09.12 17:15

「すごい習慣化」で医療費を削減する予防医療サービス

医療費の8割を消費する2割のハイリスク層

現在、全国の健康保険組合の数は約1370。賃金の上昇などにより収入自体は増加傾向にあるもの、2025年度は約4分の3の組合で赤字が見込まれており、1990年代以降累計で、約500組合が解散している。もはや医療費の抑制は待ったなしの状況だ。

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「我々が支援する健保組合は、被保険者数が5000〜数万人規模の大企業健保が中心です。これらの医療費データを分析すると、年間医療費の約8割が上位2割の被保険者によって消費されていることがわかりました。医療費の適正化や健保財政を改善させるためには、重症化リスクが高い、2割の “ハイリスク層”に、ピンポイントで対応することが必要だと考えました。何より、この層が重症化に至れば、医療費が一気に増加するばかりでなく、先進的な医療技術や有能な医師が揃っていても根治は難しい」と萩原。

PREVENTが提供するプログラムは、医療行為ではないため医療保険は適用外。全額健保が負担するため、利用者は無料だ。

「脳卒中や心筋梗塞になると、一回あたり200〜300万円の医療費がかかります。血液透析まで移行してしまうと毎年500万円にも及びます。これを一人でも防げれば、健保にとっても大幅な負担軽減になります。また、従業員が数万人規模の健保では、年間で10数名が在職中に突然死するケースもあります。企業としても突然死は防ぎたい課題ですから、このプログラムの投資対効果は明確です。もう一つは、やはり医療費適正化です。これまで医療費適正化につながる保健事業はほとんどありませんでした。従来の生活習慣病の人への画一的なダイエットプログラムのような予防策は、長期スパンでの効果しかありません。しかしこのプラグラムは“明日倒れるかもしれない”という人が実践するものですから、効果は明らかです。こうした医療費適正化に直結している点が最大の特徴です」(萩原)

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文=真下智子

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