高血圧といっても、「塩分管理が必要な人」もいれば、「減量優先の人」、「睡眠習慣の改善が課題の人」などさまざまだ。より的確なアセスメントのために、医療専門職には徹底的にトレーニングを実施。単に血圧の管理だけでなく、生活習慣の何をどう変えていけば良いのかまで踏み込んだプログラムを作り込んでいくことが特徴だ。進捗については、医療専門職が、対象者と電話で行う20〜30分間の定期面談や、アプリで確認。伴走支援している。たとえば、脳梗塞を発生した人が、この生活習慣改善プログラムを実践した場合、3年後の再発率は10分の1になったという。さらに、プログラム終了後、利用した96.2%の人が、「良い生活習慣が身に付いた」と回答している。

鍵となるのは高い医療技術でも薬でもなく、行動変容を引き出すコミュニケーションだ。この手法は、仕事や学習など「やる気が続かない」という言い訳をしがちの人にも有効な方法なので、ここで紹介したい。
「当社の医療専門職と話すことで気持ちが前向きになり、やる気が出るという声が多く寄せられています。直接指導を受けることで行動に移しやすくなり、思考も変わっていくようです。明日はここから変えていきましょう、と具体的な目標作りをして、2週間後に再び電話で確認する。これを2週間タームで繰り返していきます」(萩原)
人間は「頑張ろう」とか「◯◯をやめよう」など、精神面から習慣化を試みるが三日坊主に終わる人がほとんどだ。そうしないためには物理的な環境や行動を先に変えることが「行動変容」には重要だ。そこで、行動を促す仕組みを提供していると萩原は言う。
「たとえば減量プログラムでは、対象者に毎日体重をアプリに入力してもらっています。この入力率が高いほど減量効果が上がります。入力率が高く、さらに医療専門職とのチャットの量が多ければ、効果は倍増。その一方で、チャットの量が多くても、入力率が低ければ減量効果は見られません。毎日入力して、自分が努力したことに対してフィードバックがもらえることで、減量を強制されているという外発的動機づけから、“褒められたい”“もっとやりたい”という内発的動機づけに変わっていくのです」。(萩原)



