リーダーシップ

2025.09.16 12:30

2026年に勝つ経営者の条件、革新力と遂行力を兼ね備えた「両利きのリーダー」になる5ステップ

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リーダーを偉大な存在にする要素とは、実際のところ何だろう? そんな疑問を抱いたことはないだろうか。

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この疑問に答えるのは簡単ではない。何はともあれビジョンだ、と考える人もいる。完全無欠の遂行力だと言う人もいる。リーダーシップ養成プログラムでは、事前の計画と、未来への備えの重要性が強調されることが多い。

現実はもっと単純だが、もっと難しくもある。偉大なるリーダーシップは、一面的なものではない。重要なのは広い守備範囲と、矛盾をくぐり抜ける能力を備えることだ。

2026年が近づくいま、一歩先を行くリーダーとは、「両利きの(ambidextrous)」組織モデルを受け入れる人だ。

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はやりの言葉は忘れよう。重要なのはマインドセットだ。「両利き」とはつまり、大胆なイノベーションを推進する方法を知っていると同時に、業務オペレーションも優れていることを意味する。安定が消え去りやすく、期待が上がりつづける世界では、リーダーは、実験と遂行のあいだでなめらかにギアを切り替える方法を身につけなければならない。

McKinsey(マッキンゼー)による調査の知見によれば、変化の激しい時代では、「両利きの」リーダーは、次に挙げる3つの強みを通じてアドバンテージを得られるという。その3つとは、洞察、コミットメント、遂行だ。

例えば、技術的負債(technical debt:簡単なソリューションを選ぶことで生じる、追加作業のコスト)が存在しない、最新式のITアーキテクチャを構築する組織は、平均すると約20%速く成長する。リソースをダイナミックに再配分するリーダーは、静的な予算に固執するリーダーに比べて、大きな成果を獲得する可能性が高い。

共通点は、好奇心と適応力のカルチャーにある。リーダーは型にはまらない洞察を追求し、重要な決断にコミットし、そして「行動と修正」を繰り返しつつ、状況の変化に応じて方向転換するのだ。

世界経済フォーラムは、2027年までに、労働者の主要スキルの44%が変化すると予測している。革新と遂行のどちらの能力も備えたリーダーが、急速に必要とされている。

経営幹部に求められる能力の、新たな定義

Deloitte(デロイト)のリポートによれば、創造的破壊を最もうまく乗り切れる「破壊されない」CEOとは、「両利きの」リーダーだという。そうしたCEOは、現行のビジネスパフォーマンスを推進しながら、同時に変革の機会も切り開く。

デロイトが経験豊富なCEO、24人の聞きとり調査をしたところ、「両利きの」在り方、すなわち、「業務遂行」と「新たな道の開拓」とのバランスをとることこそが、レジリエントなリーダーシップの決定的特徴であることがわかった。こうしたリーダーは時とともに適応し、一時的なスタンスではなく戦略的な能力として、両面性を身につけている。

2026年には「ビジョン以上のもの」が求められる理由

生成AI、分散型労働、不安定なグローバル市場が、各業界のかたちを変えている。これに伴い、リスクとは単なる「後れをとること」ではなくなっている。「先頭を切って間違った方向へ進むこと」もリスクになるのだ。遂行を伴わないビジョンは役に立たない雑音であり、イノベーションを伴わない遂行は時代遅れにつながる。

2026年に備えるリーダーは、遂行とビジョンのどちらかを選んだりはしない。両方に対応できるよう準備をしている。これはつまり、計算されたリスクが奨励される文化を育むことを意味する。それと同時に、「結果に対する説明責任」をチームが負う文化を育むことも意味する。ムーンショット(壮大で野心的な計画)に出資しながら、一定の利益率を維持することを意味する。そして、オペレーションの面でも戦略の面でも、熟達することを意味する。

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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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