欧州

2025.09.11 10:00

ロシア軍の精鋭ドローン部隊「ルビコン」が増強、ウクライナ軍の大きな脅威に

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ロシアのドローン戦を専門化するルビコン

ロシア国防省の精鋭ドローン部隊であるルビコン、正式には「ルビコン先進無人技術センター」は2024年後半に発足し、前線で最も効果的な部隊のひとつへと急速に成長した。ルビコンはFPVドローン、偵察ドローン、ランセット徘徊弾薬、固定翼無人機、さらには新設された無人水上艇(USV)部門など12個分遣隊を擁し、補給部隊や後送部隊も組み込まれている。

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OSINT兵器リサーチャーのロイ・ガーディナーは「ルビコン部隊がとくに危険なのは、ロシアで最も経験豊富な光ファイバーFPVドローン操縦士を集めているからだ」と指摘する。

そのため、ドローン戦力がロシアの戦争機構全体により専門的・体系的に統合されており、そこではウクライナ軍のドローンへの対抗とその兵站支援の弱体化に重点が置かれている。

ロシア軍はここへきてドローン部隊と強襲部隊の連携をさらに緊密にしている。7月の報告によれば、ルビコンの「タイフーン」部隊はほかのドローンチームとも協力しながら、モルニヤFPVドローンで攻撃の支援にあたったという。

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新アメリカ安全保障センター(CNAS)の非常勤シニアフェロー、サミュエル・ベンデットはXへの投稿で「すべての強襲が計画どおりに進むわけではなく、ロシア側は依然として大量の人員を失っている」という点に留意しつつ、ルビコンの展開は「地上強襲部隊とISR(情報収集・監視・偵察)ドローンや戦術ドローンを連携させるうえで、より専門的で体系的なアプローチが採られていることを意味する」と解説している。

ウクライナのアナリスト、セルヒー・“フラッシュ”・ベスクレストノウはテレグラムへの投稿で、ルビコンは最前線の偵察部隊と緊密に連携し、補給路への攻撃で中心的な役割を果たすようになっていると強調している。彼はルビコンを、ロシアのドローン戦の集中化・専門化に向けた大きな動きの一環として位置づけている。

こうした見方は、ウクライナの専門家の間で広く共有されている。ウクライナのドローン技術強化プロジェクト「ビクトリー・ドローンズ」のマリヤ・ベルリンシカ代表は、テレグラムへの投稿に「(ルビコンは)数百人規模の部隊から、戦線全体をカバーするため数千人規模に拡大しています」と記し、その規模の拡大に警鐘を鳴らしている。「秋までに少なくとも5000~6000人の特技兵が、十分に連携がとれ、装備の整ったチームに編成される」との見通しを示し、「ルビコンについて知る人が皆認めることがひとつあります。それは、非常に高い効果を発揮しているということです」とも述べている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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