OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのアンドルー・パーペチュアは今年3月、X(旧ツイッター)への投稿で、ウクライナ側が対抗手段を編み出さなければ、クルスク州でのロシア軍の成功はほかの前線でも再現され得ると警告していた。事実、ウクライナ東部ドネツク州のコスチャンティニウカ方面では最近、ルビコンが登場したことで、ウクライナ側は補給路全体の見直しを強いられ、防御線に多大な圧力が持続的にかかっている。
ニューヨーク・タイムズ紙の7月の報道によると、ウクライナ兵の間でも、ルビコンはロシア側がドローン作戦を向上させる転機になったと認識されている。ウクライナ陸軍第53独立機械化旅団で医療班を率いる米国人志願兵、レベッカ・マシオロウスキーは同紙に「彼らが来てから形勢が変わりました」と語っている。
ロシアの戦争機構は過去の過ちから学んでいる
ロシアは2022年2月にウクライナに対する全面侵攻を始めた際、すぐに勝てると思い込んでいた。ロシア兵のなかには、基本的な補給品でなくパレード用の制服を持ち込んでいた者もいたほどだった。ところが実際にはロシア軍は泥沼の消耗戦に陥り、西側諸国は戦場でのロシア軍の拙劣な戦いぶりに愕然とした。しかしその後、クレムリンは初期の過ちから学び、ロシアの戦争機構を格段に効率的なものに修正してきた。
2024年、光ファイバードローンが戦場を支配し始め、とりわけクルスク州で威力を発揮した。このイノベーション(技術革新)を最初に大規模に導入したのは、ウクライナではなくロシアだった。ウクライナメディアのウクラインシカ・プラウダによると、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官も今年6月、光ファイバードローンに関してはロシア側が「数量と応用範囲の両面で上回っている」と認めている。
ロシアは「規模」を頼みにしているとみられ、国家資源を動員して装備品を大量に生産している。たとえばロシアの武器大手カラシニコフグループは、ロシア初の光ファイバードローンを開発したボランティア運営のテック・アクセラレーター「ウシュクイニク」と提携し、ドローンを共同生産中だ。こうした動きは、ロシアの防衛産業が、最前線で実証されたスタートアップの革新技術を量産体制に組み込み、開発から配備までのサイクルを加速させていることを示している。要するに、ロシアは迅速に適応し、この戦争から学んでいるということだ。


