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2025.09.12 09:30

米最大デジタル銀行「チャイム」、新カードで中間層顧客と株価回復を狙う

JHVEPhoto / Shutterstock.com

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米国最大のデジタル銀行Chime(チャイム)は9月9日、新カードを発表した。これまで米国人に人気の「リワード付きクレジットカード」を提供してこなかったが、新カードでは食料品やレストランでの支払い、ガソリンなどに1.5%のキャッシュバックを付与する。対象となるカテゴリーは数カ月ごとに変更可能。なお“リワード付き”とは、利用額に応じて、利用者に特典(リワード)を還元する仕組みを指す。

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信用力が弱い層に特化──カードの仕組みと他社比較

このカードはセキュアード(保証金担保型)カードと呼ばれ、利用者のチャイムの当座預金口座の残高がそのまま利用限度額になる。一般的なクレジットカードの審査に通りにくい信用履歴の薄い人や信用力の弱い人が、クレジットスコアを高める手段とみなされている。

Capital One(キャピタルワン)やDiscover(ディスカバー)などの銀行も、数年前からリワード付きのセキュアードカードを提供している。しかし、これらは残高を翌月に繰り越せる仕組みで、利息が発生する(DiscoverはCapital Oneの傘下となったが、今も独立したブランドとして運営している)。これに対し、チャイムのセキュアードカードは顧客に毎月の全額返済を義務づけている。

サンフランシスコ拠点のフィンテック企業チャイムは、パンデミック期の2020年に、同社初のセキュアードカード「Credit Builder」を導入した。その結果、5月の当局提出資料によると、800万人を超えるアクティブ顧客の3分の1以上がこのカードを利用している。

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給料の前倒し入金とメイン口座化で定着

2012年の創業当初、チャイムは「給料を2日前倒しで受け取れる」仕組みを打ち出し、利用者を一気に獲得した。その後は、普通預金口座、小口・大口の個人ローン、給与の前借りといった商品へと事業を広げ、現在のアクティブ顧客数は870万人に達している。チャイムは、給与の振込先を自社口座に指定しなければ利用できない機能を複数用意することで、多くの顧客に自社アプリをメイン口座として使わせることに成功した。

同社の収益の大半は、顧客がクレジットカードやデビットカードで決済する際に加盟店が支払う1〜2%のインターチェンジ手数料だ。VisaとMastercardの規則により、クレジットカード取引の方が加盟店にとって手数料が高い。そのためチャイムは、デビットカードではなく利益率の高いセキュアードクレジットカードにリワードを付与し、利用を促している。

無料か有料か──顧客層を広げる新たなブランド戦略

チャイムの新たなリワード付きカードは、ブラックとグリーンのバージョンが無料で発行できる。チタン製のカードは50ドル(約7000円)+税だ。同社チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)のヴィニート・メヘラは、一部の顧客は「自分の人生の進展をカード上に示したいと考えている」と話す。こうしたブランディングは、チャイムがより裕福な顧客層を魅了し、高所得層市場へと参入しようとしていることを示している。同社は今年初めの当局への提出資料でも、年収10万ドル(約1470万円)までの層を対象にしたいと繰り返し表明していた。

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翻訳=上田裕資

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