資産運用

2025.09.15 15:00

円安だけでは終わらない。トップアナリストが読むインバウンドの新局面

eamesBot / Shutterstock.com

インバウンド新局面 価格面の魅力は低下、企業戦略が明暗分ける

小売りセクターでは、売上高に対する免税売り上げの構成比が約10%以上ある企業がインバウンド銘柄として株式市場にとらえられることが多い。代表例は三越伊勢丹ホールディングス、高島屋、大丸や松坂屋、パルコを展開するJ.フロントリテイリングといった大手百貨店だ。直近の通期決算の数字を見ると、三越伊勢丹ホールディングスは免税売上高が1700億円2025年3月期)、高島屋は1160億円(25年2月期)、J.フロントリテイリングは1304億円(25年2月期)と、いずれも過去最高となっている。

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百貨店以外では、「ドン・キホーテ」などを欧州のラグジュアリーブランドの内外価格差が展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下PPIH)、靴小売りのエービーシー・マート(以下、ABCマート)、ドラッグストアのマツキヨココカラ&カンパニー(以下、マツキヨ)などが該当する。また、ファーストリテイリングの「ユニクロ」など、グローバルに展開する国内ブランドもインバウンドによる売り上げが増加している。現地価格と比較した魅力もあるが、海外で一定の知名度のある日本ブランドの商品を本国で買うことが、訪日客の旅行の楽しみにもなっているためだ。 

「爆買い」と表現された第1回インバウンドブームにつぐ、今回の2回目のインバウンドブームは23年から始まっている。要因はふたつある。 

新型コロナウイルス感染症が季節性インフルエンザと同じ「5類」に分類され、訪日客数が本格的に戻り始めたことと、急速な円安による内外価格差(同一の商品やサービスを国内で買う場合と、海外で買う場合で生じる価格の差)の拡大だ。最も恩恵を受けたのは百貨店で、欧州のラグジュアリーブランドの内外価格差が拡大。免税効果と相まって、訪日客を強く引きつけた。この好調ぶりを受けてブランド側も日本市場を重視し、在庫を集中的に配分するようになり、商品の品揃えが充実。これがさらなる集客につながる好循環を生んでいた。

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文=古賀寛明、加藤智朗

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