シリコンサイクルの見極めが肝
業界が好調といっても、すべての企業がその恩恵にあずかれるわけではない。半導体の製造は、ウエハーに回路を形成する「前工程」、ウエハーをチップに切り出して製品化する「後工程」に分かれる。半導体業界には定期的なサイクル、いわゆるシリコンサイクルがあり、その時々で目立つ銘柄は違う。
例えば、サーバーやストレージがフラッシュメモリーに変わったことで起きた16年のサイクルでは、前工程のエッチング装置メーカーなどが大きく伸びた。また、19年は、スマホの伸びとともにEUV(極端紫外線)露光技術の需要が拡大し新たなサイクルが起きたが、この時、一気に伸びたのがレーザー技術を使った検査装置を手がける企業だった。そして、現在のAIによるサイクルでは後工程の企業が注目されている。銘柄選びは、今どのようなサイクルで、どの工程がポイントとなるのかを見極めることが重要だ。
AIの次のトレンドについても触れておきたい。よく挙げられるのが量子コンピュータだ。AIのディープラーニング(深層学習)が短時間でできるので、AIブームを後押しする可能性はあるが、現時点では用途が限定的だ。もうひとつが、「バイオコンピューティング」という技術。人間の脳とコンピュータを接続させ、外部記憶媒体として使ったり、意識を共有したり感覚を拡張させたりする未来の技術だ。ほかにも、半導体製造技術でつくったバイオマシンを血管の中で走らせて病気の治療を行うといったことも期待されている。
いずれにしても、微細加工技術が極められてきた半導体は、これ以上に安く大量生産できるような代替技術が生まれづらい。新たな技術に取って代わられるのではなく、新たな技術を生み出していく存在として、今後も発展していくだろう。
和田木哲哉◎モルガン・スタンレーMUFG証券マネージングディレクター。東京エレクトロン、野村證券等を経て現職。2025年の「人気アナリスト調査」(日経ヴェリタス)AI部門、精密機械・半導体製造装置部門1位。


