サイエンス

2025.09.12 09:30

砂漠化を止められるか? 中国の「緑の長城」プロジェクト、成功宣言の陰で残る課題

Fabio Nodari/Getty Images

Fabio Nodari/Getty Images

半世紀近く前、中国は壮大なビジョンを抱いた。それは、世界で最も急激に拡大していた砂漠の勢いを押し留めるために、世界最大の人造林を設けるという構想だ。

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1978年以来、「緑の長城(Great Green Wall)」という別名でよく知られているこの「三北防護林プロジェクト(TNSP)」は、数百万ヘクタールにわたる乾燥地帯や半乾燥地帯の土地をコツコツと緑化してきた。

緑地を侵食する砂漠の勢いを食い止め、砂漠化の流れを反転させることを目指すこのプロジェクトは、2050年までに35万平方kmの土地に植林を行うという目標を掲げた。これは、ドイツの国土にほぼ匹敵する面積だ。

達成した数字は、一見すると驚くべきものだ。

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公式発表の実績値によると、すでに3000万ヘクタールの森林が造成されている。また、中国の国土全体に森林の占める割合も、中華人民共和国が建国された1949年には10%だったものが、現在では25%にまで増加している。

一部の地域では、樹木や灌木が植えられた緑化帯が、目で見てわかるほどはっきりと、砂丘の移動を押し留めている。砂漠地帯に設けられたソーラーファームは、中国の再生可能エネルギー推進政策の一翼を担う設備だが、ソーラーパネルが地面を覆うことで、植物や家畜のために、より涼しい微気候を生みだしている。

しかしこのプロジェクトは、環境保全の画期的な成果として賞賛される一方で、注意を要する点があるかもしれない。いいことばかりに見える表向きの姿の下には、複雑に絡まり合った課題が存在しており、環境的・組織的な、より根の深い脆弱性の存在を示唆している。

膨大な労力の末に築かれた「緑の長城」

マクロな観点から見れば、森林を復活させようとする中国のプログラムは、実際に成果を上げている。近年、中国全土で、国土に森林の占める割合は大幅に上昇している。米航空宇宙局(NASA)や中国科学院のリモートセンシングデータからも、北部の重点地域で緑化が進んでいることが裏付けられている。

ゴビ砂漠の辺縁部など、かつては耕作が土地の侵食をさらに悪化させていた場所でも、政府が支援するプロジェクトが、アグロフォレストリー(農林複合経営)やエコツーリズムなど、よりサステナブルな土地の利用法への移行を促してきた。

このプログラムの進行に伴って、緑化の手法も進化してきた。近年では政府当局も、もともとこれらの地域に生えていた、干ばつに強い灌木を植えることに力点を置いている。また、既存の植生を保護することで、砂漠に侵食されていた草地を復活させる活動も盛んになっている。これらの手法は、砂漠化が進みやすい地域では、新たな木を植えるよりも効率が良いケースが多い。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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