サイエンス

2025.09.12 09:30

砂漠化を止められるか? 中国の「緑の長城」プロジェクト、成功宣言の陰で残る課題

Fabio Nodari/Getty Images

多くの課題を残す緑化計画

緑の防砂帯に囲まれた砂漠や、いきいきと蘇った風景を見ると、この物語がサクセスストーリーであるように思える。しかし、科学的な目で厳しく検証すると、いまだに多くが語られていない、別の物語の存在が浮き彫りになる。このプログラムがたびたび直面してきた課題は、植えられた樹木の定着率に関するものだ。

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このプログラムの初期に導入された種の多く、特に単一の種のみを植林する緑地で採用された、生育の速いポプラやマツの木は、中国北部の乾燥した過酷な環境にはあまり向いていなかった。

これらの木は、深く根を張らず、しかも生育に多くの水を必要とするため、長期的な生態系を築くには至らないケースが多かった。実際、2023年1月に学術誌『GIScience and Remote Sensing』に掲載された研究論文では、40年間で中国の砂地に植えられた樹木のうち、今でも生き残っているのは約10%にすぎないことが明らかになっている。

こうした結果は、努力が無駄になったというだけにとどまらず、重大な影響をもたらしている。単一の種のみを植えた緑地は、炭素を封じ込めるという点では効果的なものの、生物多様性が低下する傾向にあり、気候環境の負荷がかかると崩壊のリスクが高まるからだ。

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大規模な植林が行われた、黄河上流の寧夏回族自治区では、ツヤハダゴマダラカミキリ(学名:Anoplophora glabripennis)の大量発生により、数百万本のポプラの木が枯死し、数十年分にわたる緑化の進展が失われた。

さらに、乾燥地帯での植林は、予想外のコストも伴う。

樹木は草や灌木と比べると、より多くの水を消費する。そして中国南西部の一部では、大規模な植林が、地下水位の大幅な低下を引き起こしている。『Scientific Reports』に2020年3月に掲載された論文によると、中国南西部での植林は、この地域で利用可能な水の年間供給量のうち、最大で10%を消費しているおそれがあるという。

「緑の長城」に向けた中国のあらゆる努力にもかかわらず、砂漠化は依然として強固な抵抗を示しているように見える。2024年の時点で、中国全土の土地のうち、砂漠が占める割合は、10年前の27.2%から26.8%と、微減にとどまっている。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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