バイオ

2025.09.15 11:15

ダイエットの味方、褐色脂肪が示す思いやりの科学

Getty Images

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軽い運動を続けると、他者への共感性、つまり思いやりの気持ちが強まるという。これまで不明だったそのメカニズムを群馬大学が解明したが、そこにはあのダイエットの味方である褐色脂肪の活性化が関与していた。軽い運動で健康になって「いい人」になれたら、言うことはない。

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群馬大学共同教育学部の島孟留准教授らの研究チームは、マウスを使った実験を行なった。その結果、4週間の低強度運動(呼吸数や心拍数があまり上がらない程度の運動)を続けたマウスは、共感性が高まることを確認。そこには褐色脂肪組織が活性化することで分泌されるエクソソーム(細胞外⼩胞)に含まれるmiR-486a-3pというマイクロRNAが関与していることを突き止めた。

救助⾏動試験の実験装置。水槽と安全な場所との間に回転ドアを備えた壁がある。
救助⾏動試験の実験装置。水槽と安全な場所との間に回転ドアを備えた壁がある。

それを実証するために、まずマウスに1日30分、週5日の低強度運動を4週間続けさせ、救助⾏動試験を行った。これは、回転ドアがある壁で仕切られた安全な場所と水槽にそれぞれマウスを入れ、安全な場所のマウスが水の中のマウスを救おうと回転ドアを開けるまでの時間を測定するというもの。その時間が短いほど共感性が高いことになる。

すると、低強度運動をしたマウスは共感性が高くなっていることがわかった。また、脳、血漿、褐色脂肪細胞から分泌されるmiR-486a-3pの量も増えていた。

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4週間運動させたマウスと、合成miR-486a-3pを投与したマウスのいずれも共感性が高まった。
4週間運動させたマウスと、合成miR-486a-3pを投与したマウスのいずれも共感性が高まった。

次に、健康なマウスに2週間、人工的に合成したmiR-486a-3pをお腹に投与したところ、同じように共感性が高まることが確認された。

これにより、低強度運動で活性化した褐色脂肪細胞から分泌されるmiR-486a-3pが共感性を高める可能性が示唆された。研究チームは、さらに研究を進めることで、共感性を高めるための最適な運動処方や治療法の発展が期待できると話している。人助けランキングが世界最下位レベルの日本人は、運動が足りないのかもしれない。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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