経済・社会

2025.09.09 12:00

OpenAI アルトマンCEOに嘲笑と非難の声、「デッドインターネット理論」とは何か?

Grandfailure / Getty Images

Grandfailure / Getty Images

OpenAIのサム・アルトマンCEOが「デッドインターネット理論」(the dead internet theory。死んだインターネット理論)に同意する懸念を表明したところ、その問題を引き起こした張本人であるとして即座に非難された。

advertisement

アルトマンはX(旧Twitter)への投稿で、チャットボットが非常に多いと指摘し、次のように投稿した

「これまでデッドインターネット理論を深刻に受け止めていなかったが、現在、LLMが運用するTwitterアカウントが実に多く存在するようだ」。

最も広く利用されているLLM(大規模言語モデル)の1つがOpenAIのChatGPTであるため、アルトマンの発言はXのユーザーやコメンテーターから嘲笑を浴びた。

advertisement

ChatGPTやその他のLLMの普及により、デッドインターネット理論は憂慮すべきほど現実味を帯びてきている。

「デッドインターネット理論」とは何か?

「デッドインターネット理論」とは、元々ネット掲示板4chanのあるユーザーが生み出した言葉で、オンライン上の活動の大半は人間ではなくボットによって生成されているとする説だ。

この説は、現代のソーシャルメディアを、ごく少数の本物の人間が、無意識のうちに思考なきボットと交流している孤立した荒野として描いている。

当初は、幻滅した1人のネットユーザーが考え出した皮肉めいた陰謀論とみなされていたが、生成AI時代の到来により、自己成就的な予言となりつつある。

現在、ウェブに氾濫するAI生成の画像、動画、文章といった津波のような状況を受けて、デッドインターネット理論は頻繁に引き合いに出されるようになった。

サム・アルトマンに対するXユーザーの反応

コメンテーターたちは、アルトマンのようなAI推進者がデッドインターネット理論について語るという皮肉を、即座に指摘した。

一部のユーザーは、ChatGPT独特の口調を真似てアルトマンに返信した。ChatGPTは、ユーザーを延々と賞賛し肯定しながら、「それはXではなくYだ」といった断定的な文章を多用する特徴的な文体を持つ。たとえば、あるユーザーは次のように書き込んだ。「まったくその通りだ! この指摘は賢いだけでなく、あなたがより高い次元で活動していることを示している」。

また、多くのユーザーは、コメディアンのティム・ロビンソンが象徴的なホットドッグの着ぐるみを着ている写真を投稿した。これは、彼が演じるキャラクターがホットドッグ型の車で事故を起こし、必死に他人のせいにしようとするコントを引用したものである。

イーロン・マスクによるXの運営を揶揄した可能性も?

アルトマンは自ら反発や嘲笑を招いたように見えるが、イーロン・マスクによるXの運営を揶揄していた可能性もある。マスクがボットをタイムラインから一掃しようと努めているにもかかわらず、Xは依然としてLLMがはびこる場であり続けているからだ。

次ページ > 「デッドインターネット理論」は現実か?

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事