「デッドインターネット理論」は現実か?
生成AIによって生命感のないコンテンツが大量に生み出されてはいるものの、インターネットはまだ死んでいない。
特にXはボットに満ちているが、生身のユーザーが生み出すコンテンツのおかげで、今なお現代インターネットにおける主要なミーム(流行)の発信源の1つであり続けている。
人間から発せられたもの
Xには明らかに生身の人間が存在し、くだらないミームや人々の怒りをニュースにし、時にはホワイトハウスにまで届けてしまうほどの文化的な力を持っている。
たとえば、レストランチェーンのCracker Barrelがロゴを変更しようとした際にインフルエンサーが激しく反対する投稿を行い、同社がそれを撤回するに至ったことだ。さらにはドナルド・トランプ前大統領が「Y.M.C.A.」の曲に合わせて踊る自身のAI生成動画を投稿したことに至るまで、そこには明確な流れが存在する。
We now have content that would instantly kill a late-20th-century cultural theorist https://t.co/FvNQcu5Q2X
— Erik Baker (@erikmbaker) September 4, 2025
XやTikTokには、ボットが圧倒することのできない、生きたコミュニティが存在する。そこから生まれる議論は、しばしば驚くほど愚かではあるが、少なくとも人間から発せられたものである。
ボットの絶え間ないざわめき
それにもかかわらず、ツイートに無心で返信するボットの絶え間ないざわめきが、常に背景音として存在している。
I don’t comment on posts often but when I do, most of the replies are bots and all the likes to the replies are bots. Everyone thought the bot take over would be like skynet but somehow this is more bleak.
— susu🔪 (@Susu_jpg) July 14, 2025
チャットボットは生気がない退屈な会話相手だが、至る所に存在する。そして、AIが生成する画像、動画、コメントは、生身のクリエイターが生み出すよりも速いペースでデジタル空間を埋め尽くしつつある。
AIは、YouTube上で大衆を誤った情報に導くための長尺で不正確な歴史動画を生成し、InstagramやFacebookを悪夢のような画像で溢れさせ、生身のスーパーモデルを生命感のない抜け殻に取って代わらせている。
また、AIは名作映画の編集や、亡くなったミュージシャンのドッペルゲンガー(分身)の作成にも利用されている。
それでも生命は続いている
ソーシャルメディアの現状は、「デッドインターネット理論」というよりも、人気ゲーム『The Last of Us』(ザ・ラスト・オブ・アス)のようなゾンビがはびこる終末世界のようだ。そこでは生者は劣勢かもしれないが、それでも生命は続いている。


