「不躾」の意味とは?
「不躾(ぶしつけ)」とは、礼儀作法に欠けた態度や、無遠慮で失礼にあたる振る舞いを意味します。「躾(しつけ)」は礼儀や作法を身につけることを指し、否定の「不」がつくことで「礼儀を欠いた状態」を表します。
ただしビジネスシーンでは、単に「失礼」という意味で使うのではなく、「不躾ながら」「不躾なお願いで恐縮ですが」といった前置きの表現として用いられることが多いです。この場合、自分の行為や発言が礼を欠いている可能性を承知した上で、相手に配慮するニュアンスを含んでいます。
「不躾」の使い方
「不躾」は日常会話ではやや堅い表現ですが、ビジネスや改まった場面では有効に使うことができます。主な使い方は以下のとおりです。
質問を切り出すとき
相手に答えづらい質問や踏み込んだ内容を尋ねる際に、「不躾な質問ですが」と前置きすることで、相手に配慮した表現になります。
- 「大変不躾とは存じますが、年齢をお伺いしてもよろしいでしょうか。」
- 「不躾な質問で恐縮ですが、この件に関するご意見をお聞かせいただけますか。」
依頼やお願いをする時
相手にとって負担になる可能性のある依頼をする際に「不躾なお願いではございますが」と添えると、相手への敬意が伝わります。
- 「不躾なお願いで申し訳ありませんが、資料をご確認いただけますでしょうか。」
- 「ご多用のところ恐縮ですが、不躾ながらお力添えをお願い申し上げます。」
謝罪する時
自分の振る舞いが失礼にあたったことを強調して謝罪する場合にも「不躾」は使えます。
- 「この度は不躾な態度を取り、大変失礼いたしました。」
- 「不躾な発言をしてしまい、心よりお詫び申し上げます。」
「不躾」の類義語とニュアンスの違い
似た意味を持つ表現はいくつかありますが、微妙なニュアンスが異なります。使い分けることで表現の幅が広がります。
- 失礼: 一般的に最もよく使われる言葉。軽い無作法から重大な非礼まで幅広く使える。
- 無礼: より強い語感を持ち、故意に礼を欠いた印象を与える。
- 非礼: 非常に堅い表現で、改まった謝罪や文書で使われることが多い。
- 無作法: 作法をわきまえていない様子を指し、行動面に焦点がある。
「不躾」の言い換え表現
ビジネスシーンで「不躾」を避けたいときや、柔らかい言葉を使いたい場合には以下のような表現が有効です。
- 「失礼を承知で申し上げますが…」
- 「唐突で恐縮ですが…」
- 「率直に伺いますと…」
- 「お差し支えなければ…」
「不躾」を使うときの注意点
便利な表現である一方で、誤用や乱用は逆効果になる場合があります。以下の点に注意しましょう。
- 自分に向けて使うのが基本: 他人に直接「不躾だ」と言うと、強い非難となるため注意が必要です。
- 前置き表現として活用: 質問や依頼をやわらげるために使うのが最も適切です。
- 繰り返し使いすぎない: 頻用すると文章や会話が重く感じられます。
- 相手や場面を選ぶ: カジュアルな会話ではやや大げさに響くため、フォーマルな場に適しています。
ビジネスシーンでの活用例
ここでは、実際のビジネスシーンを想定した使い方を紹介します。
メールでの依頼
「不躾なお願いで恐縮ですが、明日までにご確認いただけますと幸いです。」
会議での発言
「大変不躾とは存じますが、この計画のリスクについて率直にご意見を伺いたく存じます。」
顧客対応
「不躾なお願いで申し訳ございませんが、アンケートへのご協力をお願いできますでしょうか。」
まとめ
「不躾」は本来「礼儀作法に欠ける」という意味を持つ言葉ですが、ビジネスシーンでは「無礼を承知でお願いする」という前置き表現として非常に有効です。質問や依頼を和らげ、相手に配慮する姿勢を示せるため、適切に使えば信頼感を高めることにつながります。
ただし、相手に直接「不躾だ」と言うと非難にあたるため注意が必要です。類義語や言い換え表現も併用しながら、場面や相手に合わせて柔軟に使い分けましょう。



