古いプレイブックの終焉
AIスーパーヒューマンの破壊的な可能性は、リーダーたちに難しい問いを投げかける。機械がほとんどの営業タスクを人間よりも上手くこなせるようになったら何が起こるのか。私が“今日AIが代替できる、また代替すべき営業タスクは何か”と尋ねると、彼女は「ほとんどです」と明確に答えた。「見込み客の評価、売り込み、真のソリューション営業、リアルタイムでの交渉に至るまで、すべてです。これらは人間にとって難しいタスクですが、私たちはスーパーヒューマンに、人間よりも共感的ともいえる方法でこれらを行うように教えることができます」。
最後の点は驚くべきものだ。我々は共感を人間特有のものと考えがちだが、AIは非常に効果的な方法で共感を模倣し、投影するように訓練可能だ。これにより、組織は、最高の営業担当者でさえ大規模に再現することが難しい、パーソナライズされた応答性の高いエンゲージメントを提供できるようになる。
もちろん、不安は存在する。営業職の階層全体が自動化によって消滅するリスクがある。しかし、カーロウはそのことから目をそらさない。「短期的な混乱はあるでしょう」と彼女は認めた。「私たちがとれる最も誠実な態度は、実際に何が起ころうとしているのかを共有し、『これは単なる業務補強に過ぎない』などと言わないことです。学ぶべき新しいスキルや、就くべき新しい仕事が生まれるのです」。
自己代替へのインセンティブが合理的な理由
カーロウのビジョンの最も大胆な部分は、テクノロジーそのものだけでなく、彼女が提唱する文化の転換である。彼女はCEOたちに、自分たちを代替しうるAIエージェントを構築した従業員に報いるシステムを作ることを望んでいる。具体的には、ストックオプションの権利確定を早めたり、追加の株式を付与したり、あるいは古い仕事が自動化された後に従業員を新しい、より価値の高い役割に異動させたりすることを意味するかもしれない。
「それはより良いものでなければなりません」と彼女は言う。「私たちのスーパーヒューマンでさえ、営業担当者と同じくらい優秀なだけではだめなのです。もし同じくらいなら、誰も買いません。10倍優れていなければならないのです」。もし従業員が自分自身より10倍優れたAIエージェントを創り出したのなら、なぜ彼らは職を失うという罰を受けなければならないのか。むしろ彼らに報い、その才能を次の挑戦に向けて解き放つべきではないか。
このような考え方は、仕事に関する最も根深い前提のいくつかに挑戦するものだ。伝統的に、キャリアは自らの役割を守り、専門知識を保持することによって定義されてきた。AIが主導する世界では、最も価値のある従業員とは、自らの古い仕事を自動化して消滅させる人々かもしれない。


