1972年にパリで設立され、世界中に点在する30カ国の事務所から数多くのトップモデルを輩出しているモデルエージェンシー「elite」。日本法人が設立されて2年目を迎える「elite Japan」が、8月28日「elite Japan Fashion Show」を開催。年齢や国籍や障害の有無を問わず、多様性に満ちたモデルが同じステージで共演した今回のファッションショーでは、本邦初として今後AIモデルも活動していくニュースが発表された。会場が息をのんで見守るなか、「美しさに境界線はない」という唯一無二のメッセージが世界中に発信された。

多様なモデル起用のきっかけは、奄美大島の祖母の一言から
ファッションショーのメインテーマは、「UNLIMITED BEAUTY(無限の美しさ)」。会場となったEBiS303では、年齢や国籍や障害を超えて集結したモデルによるファッションショーが開催された。ステージ開始前から話題を集めていた今回の構成のきっかけは、「elite Japan」率いる代表取締役・黒田美耶の祖母の存在だったという。
ファッションショーを開催する代表の挨拶は、本来ならば華々しく幕開けするものだが、冒頭で語られた黒田代表の実体験は、会場に居合わせた多くの観客の心を揺さぶった。「奄美大島で暮らす大好きな祖母が、ある日を境に車椅子生活になってしまいました。施設に入居し生活するようになったとたん、あんなに明るかった祖母が、日に日に元気を失っていき。祖母から『こんな体になってまで、自分は生きていたくない』と、悲鳴のような言葉を聞いた時、『おばあちゃん、生きていてくれるだけでありがとう』と思っている私の気持ちとの温度差に愕然としたのです。しかし、この体験が契機になり、『果たして、自分に出来る事は何だろうか?』と、真剣に考えるようになりました」。
そこで黒田代表が考えたのは、世の中に社会的なメッセージを発信する事だった。「モデルエージェンシーを経営している私に出来るのは、ランウェイを使って何かを発信する事しかなかったのです。これまでのファッションショーでは、優れたスタイルのモデルがステージに立って美しくポーズを決めてSNSや観客に見せるのが常。しかし今回は、そういった従来のショーの形態を一新させて、心に響くメッセージを発信していきたい!と考えました。キーワードは『多様化』。また、人が勇気を持って生き生きと活躍する優しい世界。国籍や性別や障害の有無を超えたモデルが同じステージに立つ事で、演者の勇気が皆の勇気に派生していくのだと信じています」。
黒田代表が難解と感じていたのが、モデルとしてオファーをかけた福祉施設だったという。「『障害を持っている方は、ステージに立つ事に対して、果たして幸せと感じるものなのだろうか?』と、危惧していたものの、施設側からは、即座に快諾を得る事が出来ました。『こんな稀有な機会はないので、是非ともステージに参加したい』という心強い返答をいただけて、私達が目指す多様性のある、人に優しい世界をショーの中で発信しようと心が固まったのです」



