米国のドナルド・トランプ大統領は8月15日、ウクライナ侵攻を巡り、北部アラスカ州アンカレッジでロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談した。停戦合意には至らなかったものの、トランプ大統領は記者会見で、プーチン大統領との間で「大きな進展があった」と評価。ロシアとウクライナの和平実現の可能性は「極めて高い」と明言した。
アラスカでの会談後、トランプ大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と欧州の首脳らを首都ワシントンに招き、戦争の終結について協議した。欧州側は将来の戦争を防ぐため、ウクライナに安全を保証すべきだと訴えた。さらに、ゼレンスキー大統領が戦争終結の条件を巡ってプーチン大統領と会談する前に、停戦を実現する必要があると強調した。
トランプ大統領も、ロシアとウクライナの停戦の必要性に賛同した。その上で、プーチン大統領がゼレンスキー大統領と直接会談するまでに「2週間程度」の猶予を与えたと説明。両者が停戦合意に至らなかった場合、「非常に大きな結果」が生じると警告した。
だが、2週間が経過した今も、両者の会談は実現していない。ゼレンスキー大統領は8月31日、トランプ大統領が提示した2週間の期限を前に、大統領演説を行った。「世界中の誰もが、停戦が必要だと訴えている。誰もが戦争を終わらせなければならないと主張している。中国を含め、すべての国がその立場を取ってきた。世界中のほぼすべての国が戦争終結を支持している。この戦争を望んでいるのはロシアだけだ。戦闘を長引かせることなど、誰も容認しないだろう。われわれは米国、欧州、G20諸国が強硬な姿勢を示すことを期待している」
ゼレンスキー大統領の演説を受け、プーチン大統領は、ウクライナで和平を実現する道がまだ残されていることを望むと応じた。他方で同大統領は、ウクライナでの戦争はロシアが同国を攻撃したことによって引き起こされたのではなく、西側諸国が扇動したウクライナのクーデターの結果だと主張。この戦争は、西側がウクライナを北大西洋条約機構(NATO)に引き込もうと絶えず試みていることが原因で勃発したとの持論を展開した。
こうした意見の対立から、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の会談は実現に至っておらず、ウクライナでの戦争は続いている。



