政治

2025.09.03 08:00

トランプ大統領が握る2枚のカード、ウクライナ侵攻終結に向けどう出るのか

米アラスカ州アンカレッジの米軍基地で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)を出迎えるドナルド・トランプ米大統領。2025年8月15日撮影(Contributor/Getty Images)

米政府高官は7カ月近くにわたり、ウクライナ侵攻の終結に向け、ロシア側と協議を重ねてきた。米国は停戦の仲介を試み、和平の実現を呼びかけてきたが、これらの試みはいずれも失敗に終わっている。ロシアはウクライナへのミサイルとドローン(無人機)による攻撃を強め、一方のウクライナはロシアのエネルギー施設への攻撃を継続している。

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提示した期限を迎えた今、トランプ大統領は戦争を終結させるための選択肢を検討している。同大統領はこれまで、プーチン大統領に圧力をかける試みとして、ロシアのエネルギー産業に対する制裁をほのめかしてきた。米上院はロシアのエネルギー産業を制裁対象とする法案を提出しており、可決されれば同国の経済を弱体化させ、ウクライナ侵攻を継続する能力を削ぐことになる。

トランプ大統領のもう1つの選択肢は、ウクライナの防衛力を強化し、ロシアに軍事的圧力をかけることだ。米国防安全保障協力局(DSCA)は、米国務省がウクライナへの8億2500万ドル(約1220億円)の武器売却を新たに承認したと発表した。この中には、長射程攻撃用弾薬ミサイルや内蔵型全地球測位システム、慣性航法装置などの兵器や装備が含まれる。トランプ大統領はさらに、ウクライナが西側の武器を使用してロシア領内を攻撃することを許可した。米公共放送PBSは、西側が提供する武器により、ウクライナはロシアの弾薬庫や軍需工場、エネルギー施設を標的にできると伝えた。これらの施設が損傷を受ければ、ロシアがウクライナへの侵攻を継続する能力は弱まるだろう。

言い換えれば、トランプ大統領には選択肢があるということだ。米国がどのような行動に出るのかは現時点では不透明だが、同大統領は依然としてロシアとウクライナの和平合意は成立すると確信している。同大統領は停戦が実現すれば、ロシアとウクライナの人命が救われるとも述べている。

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米国がロシアとの交渉を開始してから7カ月目に入った今、トランプ大統領はプーチン大統領とゼレンスキー大統領を交渉の席に就かせたいと考えている。ウクライナ侵攻を監視する国際社会は、両者の協議が実現に至るまでの展開を不安と関心を持って見守り続けるだろう。

トランプ大統領は米保守系メディアのデーリーコーラーに対し、米国、ロシア、ウクライナの三者会談は「確実に開催される」と強調。「ロシアとウクライナの二国間会談については分からないが、三者会談は実現するだろう」と語った。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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