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2025.09.03 18:00

退屈だからではない、一緒にいる時の恋人の居眠りが示す意外なサイン

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パートナーが一緒にいる時に居眠りするわけ

なぜかはすぐには明らかにならないかもしれないが、本当にあなたを愛しているパートナーは、あなたの前で居眠りをする可能性が高いことが研究である程度裏付けられている。

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研究の主執筆者であるマデリーン・スプレーサーはニューズウィーク誌のインタビューで次のように説明している。「パートナーの知覚された応答性、つまりパートナーがあなたを理解し、あなたに感謝し、本当にあなたを気にかけてくれていると感じる程度が睡眠の質の重要な予測因子であることがわかった」。

明確にするためにスプレイサーは、可能な限り最も質が高く、回復力のある睡眠をとるためには、非常に落ち着いた状態でなければならないと説明した。つまり、日中に感じた不安やストレスが少しでも残っていると、入眠(そして眠り続けること)は必要以上にずっと難しくなる。

2つの生物学的要因

一貫してあなたを安心させ、気遣ってくれる人と関係を持つことが、不眠を招く認知的な雑音を静める素晴らしい方法となる。このプロセスには2つの生物学的要因がパートナーの対応と連動して関係しているとスプレイサーは説明する。ホルモンのコルチゾールとオキシトシンだ。

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コルチゾールは体に内蔵された警報システムと考えることができる。コルチゾールのレベルが高くなると落ち着きがなくなり、警戒心が強くなる。コルチゾールは、交通渋滞や激しい口論に巻き込まれるといったストレスがかかるときに急上昇するホルモンとまったく同じものだ。具体的には、コルチゾールのレベルが上昇すると、必要以上に心拍が増え、血圧が高くなる。

もちろん、これは危険から逃げているときには役に立つが、眠りにつこうとしているときには最悪だ。だが、愛情と思いやりのあるパートナーが近くにいれば、あなたの身体はすぐさま差し迫った脅威が近くにないことを察知し始める。つまり、パートナーの存在だけでコルチゾールレベルが低下するのだ。

その結果、すぐに肩の力が抜け、思考が緩やかになるのを感じ始める。これは要するに、身体が休息を取ることを物理的に許可しているのだ。

「愛情ホルモン」

そして、このコルチゾールの減少が起こると、おそらくオキシトシンが上昇する。このホルモンの俗称である「愛情ホルモン」が示す通り、オキシトシンは他人と親密な時間を過ごすときに絆を深めるために分泌される主要な神経伝達物質の1つだ。

言い換えると、手をつないだり抱き合ったり、セックスしたり、あるいは単にパートナーの近くにいるときはいつでもオキシトシンが急激に分泌される可能性が高い。

しかも、コルチゾールとは異なりオキシトシンは鎮静剤のような効果を身体にもたらす。呼吸をゆっくりにすると同時にストレスを和らげるため、自然な安心感と愛情が高まる。

コルチゾールレベルの低下とオキシトシンレベルの上昇が相まって副交感神経系が活性化する。これにより心拍が遅く、呼吸は深くなり、筋肉もリラックスする。

訓練されたように脅威がないかと注意深くなるのではなく、よく言われる「休息と消化モード」に入る。この状態で身体は食べ物を消化し、細胞を修復し、エネルギーを「充電」し始める。

このシフトは安らぎと落ち着きの深い感覚に強く関連している。このため、より眠気を感じるようになるかもしれない。スパや瞑想はこのような反応を呼び起こすことで知られているが、前述の研究が示すように、あなたが愛し、信頼している人の近くにいるだけでもそうなる。

研究では、最高の褒め言葉として受け止めるべきことと示唆

真剣に交際している人はこの研究結果に納得するだろう。パートナーがあなたの髪をなでるときに包まれる、眠気を誘うような落ち着きほど心地良いものはない。また、抱き合ったときのまぶたの不思議な重さも言葉ではうまく表現できない。

身体の触れ合いがあるかどうかにかかわらず、コルチゾールレベルの低下とオキシトシンレベルの上昇が組み合わさるだけで文字通り、神経系が休まるのだ。

こうしたことから、パートナーが会話の途中でいびきをかき始めるのは迷惑かもしれないが、これを最高の褒め言葉として受け止めるべきということが研究で示唆されている。

あなたの存在は、安全と安心のシグナル

パートナーの体はあなたの存在を紛れもない安全と安心のシグナルとして明確に解釈しているのだ。あなたの存在は、パートナーに警戒心を解くことを促す合図となる。あなたがそばにいることで、パートナーは安心して心地よく休息し、充電することができる。これは退屈や無関心を示しているものではまったくない。実際のところ、パートナーの眠気は、パートナーの神経系が真に発している静かな愛情なのかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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