スタートアップは、成長が加速するほど契約や提携、紛争といった課題が積み重なっていく。起業家たちは、「成長の節目ごとに必ず法的トラブルが起きる」と冗談めかして語るが、実際は決して笑い事ではない。取引の遅延や高額な弁護士費用にとどまらず、契約書に潜むリスクを見過ごせば、有望な企業であっても成長の足かせになりかねない。
こうした成長のボトルネックを解消する手段として注目されているのが、AIを搭載したリーガルチェックツールである。先進的な起業家は、これを競争優位性の源泉として位置づけ始めている。かつては大手法律事務所の領域だったサービスも、AIの登場により手頃な価格で容易に利用可能となった。スタートアップや中小企業にとって、隠れた法的リスクに足を取られることなく事業を加速させる上で、AIはいまや欠かせない存在となっている。
成長を阻む法的ボトルネック
ダラスに拠点を置き、AIによるリーガルオートメーション・プラットフォームを展開するDRaiソリューションズのCEO(最高経営責任者)、デイビッド・ラザラにとって、企業が直面するこうした課題は決して珍しいものではない。契約書のレビューや修正、初期段階での紛争解決といった法務プロセスは、依然として時間と労力を要する手作業となっている。「急成長中のスタートアップにとって、数日の遅れが取引や採用を停滞させる要因となる」とラザラは指摘する。その遅延は、資金調達や提携、さらにはベンダーのオンボーディングにも影響を及ぼしかねない。
現状、スタートアップや中小企業が取り得る選択肢は、数千ドルを投じて全ての契約書を法律事務所に精査してもらうか、十分な確認を行わずに契約を締結するかの二択に限られる。しかし、どちらも高いリスクを伴い、成長を阻害しかねない。小規模チームや個人で事業を運営する起業家にとって、スピードと慎重さを両立させることは、実際にはほとんど不可能だ。
サブスクで大企業向けツールが中小企業にも手の届く存在に
近年、リーガルチェックツールが、大企業向けの高額で複雑なものではなくなっている。サブスクリプション型クラウドプラットフォームの登場により、小規模チームでも契約書の分析やリスクの抽出、法的に準拠したテンプレートの生成といった作業をわずか数分で実行できるAIを利用できるようになった。
AIの経済性も劇的に変化している。「2020年以降、AIの導入コストは90%以上低下した。その結果、スタートアップも日常業務にリーガルAIを取り入れられるようになった」とラザラは語る。かつては数週間と数千ドルを要したプロセスも、現在ではより迅速に、より高い一貫性を保ちながら、格段に低いコストで処理できるようになっている。
世界中の起業家にとって、AIの導入が容易になったことは画期的な変化を意味する。社内弁護士を雇うことなくリスクを特定できるだけでなく、成長とコンプライアンスの間で妥協を強いられることもなくなった。



