北米

2025.09.01 10:00

米国で「経済悲観論」が拡大、物価上昇への懸念続く

Joe Raedle/Getty Images

Joe Raedle/Getty Images

米ミシガン大学が米国時間8月29日に発表した調査によると、米国人の経済に対する見方は8月、以前よりも悲観的になった。消費者は物価上昇や失業への懸念を示している。

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米国人の経済見通しに対する意識を示す消費者信頼感指数は、7月の61.7から8月には58.2に低下し、歴史的な基準値である100を大きく下回った。経済学者は速報値の58.6にとどまると予想していたが、確報値ではさらに悪化した。

米国人は今後1年間のインフレ率が4.8%に達すると予想しており、その予想値は7月の4.5%から上昇した。また今後5~10年の物価上昇は3.5%と予想され、速報値の3.9%よりは低かったものの、前月の3.4%を上回った。

同調査ではさらに、消費者のおよそ63%が「失業率は来年悪化する」と考えていることが示された。

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調査ディレクターのジョアン・シューは声明で、耐久財(家電など長期耐用製品)の購入条件が1年ぶりの低水準に落ち込み、個人の財務状況も7%悪化したと指摘した。その要因として「物価高への懸念の高まり」を挙げている。

労働統計局は、ドナルド・トランプ大統領が同局長を解任して以来初の雇用統計を9月5日に発表する予定だ。金融情報を提供するFactSetがまとめた市場予想では、失業率は7月の4.2%から8月には4.3%へとわずかに上昇するとされている。7月の非農業部門の雇用者数は9万2500人の増加になると予測されており、前月の7万3000人を上回る見通しだ。

2024年の選挙でカマラ・ハリスに有利になるよう雇用データを操作したとトランプに非難されたエリカ・マッケンターファー前局長の解任により、労働統計局には注目が集まる。トランプは彼女の後任にヘリテージ財団のエコノミスト、E・J・アントニーを指名した。アントニーはマッケンターファーを公然と批判してきた人物だが、元民主党関係者からは「全く資格がない」と非難されており、「極端に党派心の強い」彼が職権を乱用する恐れが指摘されている。

米国消費者の楽観的見方の後退は、7月のインフレ率が依然として連邦準備制度(FRB)の目標である2%を上回っている中で起きている。29日に発表された7月のコア個人消費支出(PCE)価格指数では、年率インフレ率が2.9%と市場の予想通りとなり、6月からは0.1%の上昇となった。インフレ調整後の消費者支出は所得の伸びに支えられ、前月比0.3%増と4カ月ぶりの高水準に達している。

FRBがインフレ指標として重視するPCEと今後発表される雇用統計は、9月に利下げが検討される前の最後の判断材料となる。7月に0.25ポイントの利下げに賛成票を投じたクリストファー・ウォーラー理事は28日、12月以来据え置かれている4.25~4.5%の金利レンジからの引き下げを再び支持すると述べた。

一方、ジェローム・パウエルFRB議長はトランプ大統領から利下げ圧力を受けつつも、近い将来トランプ関税が経済に与える影響を理由に慎重な金融政策を主張している。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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