──なぜ、これらの曲にあなたがどれくらい前から親しんでいたのかと尋ねたのかというと、人と曲との関係は経験によって変化すると、私は人々と話していて気付いたからです。今回のアルバムを作ろうとした時、これらの曲はあなたにとって変化しましたか?
ウェラー:自分自身の曲は確かに変化する。しかし、あなたが言っているような意味だと、例えば「When You Are a King」は、セッションバンドのように集まったホワイト・プレインズによる曲だが、1968年に発表された当時、10歳の私はこの曲が大好きだった。ただ、とにかくメロディが好きだったし、素晴らしいポップソングだからね。しかし、その後、女王エリザベス2世が崩御してチャールズ3世が即位した戴冠式(2023年)が行われた際、あの派手な儀式の馬鹿馬鹿しさ、無意味さ、無駄な巨額の費用を目にした時、あの曲が私の中で大きく蘇り、はるかに現実的な意味を持つことになったんだ。くだらない英国王室の馬鹿馬鹿しさを示していたのだと思う。だから、あの曲は私にとって、単に好きというだけでなく、より現実的な、違う意味を持つようになった。
──今回のレコーディングを始めた時には、すでに曲順を決めていたとあなたは言いました。多くの音楽は潜在意識下にあるものです。曲をまとめ上げた際に、それらの組み合わせに驚きを感じましたか?
ウェラー:ああ、確かに。ほとんどの素晴らしいレコードは、私のレコードが素晴らしいと言っているわけではないけれど、音楽に見事な流れがあり、さらに異なるダイナミズムがある。そのすべてが聴き手にとって、1つの旅として興味を惹きつけ続けるんだ。だから私は、すべての曲が他の曲とうまく補完し合うように組み合わせることをとても意識する。
──大好きだった曲でも、自分で演奏すると、今まで気づかなかった異なるニュアンスを帯びることで、実際に驚かされたことはありましたか?
ウェラー:実は歌詞を正確に知らなかった曲もかなりあることに気づいた。私には違うように聞こえたので、自分のバージョンで歌っていたんだ。しかし、人がどのように音楽を解釈しようとも、私はその全部が好きだ。それは個人の解釈であり、常に魅力的なものだと私は思う。


