トランプ米政権が、低額の輸入品への関税を免除する「デミニミス・ルール」として知られる措置を撤廃したことを受けて、メキシコやインド、日本などを含む25カ国が米国への小口荷物の発送を停止している。
メキシコは27日、米国への荷物発送を停止した。米政府関係者および「国際郵便組織」と、秩序あるサービス再開を可能にする仕組みについて協議しているという。
これより先に、オーストラリアや台湾、日本も米国への小包発送の停止を発表した。この措置は手紙や書類、はがきには影響しない。
その1週間前にはインドや英国、そしてフランス、ドイツ、イタリアを含むいくつかの欧州連合(EU)加盟国が同様の措置を発表した。
この他、韓国やシンガポールなどのアジア太平洋地域の数カ国も先週、米国への荷物の発送を停止した。
「デミニミス」は米国に送られてくる800ドル(約11万8000円)以下の荷物を対象に、特別に関税を免除するというもの。この措置はTemu(テム)やSHEIN(シーイン)といったeコマースプラットフォームが利用する関税制度の抜け穴と見られていた。米国の税関・国境警備局(CBP)は今年初め、2024会計年度に少なくとも13億6000もの「デミニミス」荷物を扱ったと報告した。この数は2015年から10倍近く増えている。
トランプ大統領は今年4月、中国と香港からの輸入品へのデミニミス・ルール適用を停止する大統領令に署名し、5月に発効した。そして7月末に署名された大統領令により、その他の国から発送された荷物への「デミニミス」免除は米国時間29日に停止された。
これまで免税となっていた荷物には今後、どれくらいの関税がかかるのだろうか。7月の大統領令によると、米国が課す関税率が16%未満の国から送られた場合、荷物1個あたり80ドル(約1万1800円)が課される。関税率が16〜25%の国からの荷物だと160ドル(約2万3500円)、関税率が25%以上の国からの場合は200ドル(約2万9400円)になる。
米下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」が委託した調査によると、「デミニミス」荷物のほぼ半数が中国から送られたものだった。
国連機関である万国郵便連合(UPU)の声明によると、25の加盟国が米国への荷物発送を停止している。
UPUの事務局長は8月25日にルビオ米国務長官への書簡で、こうした混乱に関する加盟国の懸念を伝えたという。UPUはまた、「UPUのネットワーク全体で関税の徴収と送金を促進する、拡張性のある関税込み持込渡し(DDP:輸出者が商品の最終到着地までの関税や輸送費、リスクを負担する国際貿易取引条件)ソリューションの開発 」に取り組んでいると説明している。



