キャリア

2025.09.02 11:30

「隠れAI利用」は解雇の可能性も、職場で使う者の4割が社内規定に違反

Shutterstock.com

企業がAIを懸念する本当の理由

多くの組織にとって、AIに関する懸念は、生産性という利益を上回る。経営陣は、法的リスク、規制の変更、そして機密情報の長期的な安全性を懸念している。

advertisement

データが入力された後も、危険は終わらない。公開AIツールは、ユーザーの入力に基づいて絶えず進化するため、機密性の高い企業情報が数カ月後あるいは数年後、予期せず再浮上する可能性もある。現在無害に見える情報も、AIシステムの知識ベースに恒久的に組み込まれることで、時間の経過とともに増幅するリスクを生み出す。

データのリスクはAIシステムに残り続ける

公開AIツールに情報を入力すると、その情報の行き先を制御するのは難しい。そのデータは保存され、分析され、予期せぬ形で再び現れる可能性さえある。

AIデータのリスクがいつまでも続く理由:

advertisement

・情報は無期限に保存される可能性がある

・コンテンツは分析したり、ほかの情報源と照合したりできる

・数カ月後あるいは数年後、詳細な情報が再び現れる可能性がある

こうした長引くリスクは、厳格なプライバシー規則がある業界にとって特に深刻だ。AIシステムにおけるデータの不適切な取り扱いが、法令違反や訴訟、あるいは重大な評判悪化につながる可能性がある。

AI利用が特にコンプライアンス上の問題につながりやすい業界

監督機関によって規制される業界では、AIツールを使用する際に、さらに高いリスクに直面する。

・米国の医療分野では、AIが患者データを処理する際に、「医療保険の移植性と責任に関する法律(HIPAA)」に準拠しなければならない

・米国の金融サービスは、米証券取引委員会(SEC)規制や銀行規制に従う必要があり、AI支援の分析はこれらを侵害する可能性がある

・法律業務では、弁護士と依頼者間の秘匿特権や職業上の責任を守らなければならない

職場でChatGPTを安全に使う3つの方法

1. 使い始める前に、自社のAIルールを知っておく

賢明な従業員は、ChatGPTを開く前に、まず自社のAIポリシーを理解することから始める。IT部門、法務部門、コンプライアンス部門に確認し、どのAIツールが承認されているか、どのように使用できるかを把握すべきだ。

もし明確なルールがなければ、声を上げてガイドラインを要求しよう。先手を打つ姿勢によってリーダーシップを示すと同時に、避けられるミスから全員を守ることができる。

2. 職場の機密データをAIツールと共有しない

基本ルールはシンプルだ。ChatGPTのような公開AIツールに、会社の機密情報や占有情報を入力してはならない。これには、顧客リスト、財務データ、人事ファイル、法的文書、秘密保持契約で保護されているあらゆる情報が含まれる。AIプラットフォームと情報を共有する前に、データの分類を習慣化してほしい。

3. あなたの仕事を守る形でChatGPTプロンプトを書く

職場でChatGPTを使う場合は、一般的なアイデアや手法、フレームワークを求めるAIプロンプトだけにしよう。直接的なビジネスデータを入れてはいけない。例えば、実際の苦情や記録を共有するのではなく、「顧客のフィードバックを分析する良い方法は?」と尋ねるべきだ。また、AIの出力は、使う前に必ず見直し、事実確認を行なおう。

職場でChatGPTを使いこなし、あなたのキャリアも守ろう

職を失うリスクを冒さなくても、ChatGPTを仕事に使うことはできる。現在の新たな環境で成功するプロフェッショナルとは、会社のポリシーを常に把握し、業界の新たなガイドラインに従いつつAIトレーニングに投資する者だ。職場でChatGPTを活用し、生産性を高めてほしい。ただし、プロとしての判断力と誠実さが、あなたの最も価値ある資産であることは変わらない。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事