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2025.08.28 10:00

急増するAIエージェントの「シャドーAI」化、安全な統制と連携が急務

Shutterstock.com

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完全な自律性、完全な自動化はいつ実現するのか? それが、今や世界のテクノロジー業界で話題に上るテーマだ。AIエージェントと呼ばれる自律型サービスは、業務効率を飛躍的に高める可能性を持ち、セールスフォースやマイクロソフトのCEOは自社業務の3〜5割をAIに委ねつつあると語る。しかし、AIエージェント同士が自動で連携し始めることで、便利さの裏にセキュリティリスクやアイデンティティ管理の課題が浮かび上がってきた。グーグルによる新プロトコルA2A、またOkta(オクタ)の取り組みは、ともにその「次の時代」に備えるための基盤づくりだ。

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AIエージェントが広げる新しい自律性

これまでテクノロジーの支持者や伝道者は、新たなAIサービスを語る際に、人間との相互作用がシステム内に含まれることを指す「ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)」や、AIから人間への業務のバトンタッチを意味する「ヒューマン・ハンドオフ」といった要素に好んで言及してきた。これは、人間がロボットに支配されることを懸念する人々に向けた、ある種のリップサービスだった。しかし、状況は変わりつつある。

グーグルは、4月にAIエージェント同士のコミュニケーションのための新たなプロトコルのA2A(Agent-to-Agent)を発表し、この流れをさらに鮮明にした。A2Aは、アンソロピック(Anthropic)のMCP(Model Context Protocol)を補完するプロトコルで、MCP同様オープンソースとして公開されている

「当社は、新たなオープンプロトコルであるA2Aを50社以上のテクノロジーパートナーからの支援を受けて立ち上げた。このプロトコルによってAIエージェント同士が通信し、安全に情報を交換し、さまざまな企業のプラットフォームやアプリケーション上で連携できるようになる。これにより、顧客のAIエージェントは企業全体のアプリケーション群を横断可能になり、大きな価値を生むことになる」とGoogle for Developersブログは記している。グーグルは6月、このA2AプロトコルをLinux Foundationに寄贈し、オープン性をさらに強化した。

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では今後、人間はどのように関与することになるのか? という疑問が浮かぶ。

クラウド基盤とアイデンティティ管理の役割

Nutanix(ニュータニックス)は、エンタープライズ向けのクラウド基盤ソフトウェアを手がける企業だ。同社のラジブ・ラマスワミCEOは、7月のロンドンのプレスイベントで、エージェント同士の相互通信がいずれ現実のものになるのが避けられないと認め、自身の会社が次のAIの時代に備え、できる限り広範でシンプルな(場合によってはユーザーから見えないほど滑らかな)クラウドサービスを提供することで、それを支えるインフラを整備しようとしていると語った。

ラマスワミは「まず整うべきはインフラであり、その次の段階としてエージェントのアイデンティティ管理が必要になる」と指摘し、「この新しい知能のネットワークを、いつ、どこで、どのように、そして何のために織り込むのかを理解することが重要だ」と強調した。そして、エージェントのアイデンティティ管理については、ブロードコムによるVMware買収を契機に大きく拡大した同社のパートナーエコシステムと協力して取り組む考えを明らかにした。

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編集=上田裕資

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