「務める」の意味とは?/語感とニュアンス
「務める(つとめる)」は、任務や役割を果たすことを意味します。会社や組織に所属すること自体ではなく、そこで与えられた役目や責任を遂行するニュアンスがあります。
例えば「司会を務める」「議長を務める」など、特定の役割やポジションを担い、責任を果たす行為を指すのが一般的です。
「務める」が使われる場面
- 会議やイベントで特定の役割を担当する
- 責任や義務を果たす
- 社会的に任された役職を遂行する
「務める」の例文
- 彼は結婚式で友人代表のスピーチを務めた。
- 私はこのプロジェクトでリーダーを務めています。
- 彼女は三年間、自治会の会長を務めてきた。
「勤める」の意味とは?/語感とニュアンス
「勤める(つとめる)」は、会社や団体などの組織に所属し、仕事に従事することを意味します。いわゆる「就職する」「雇用される」と近い意味合いです。
日常会話や履歴書などで「どこに勤めているのか」と尋ねる場合、この「勤める」が使われます。
「勤める」が使われる場面
- 会社や役所など組織に雇用されて働く場合
- 就職や転職に関連する状況
- 勤務地や所属先を説明するとき
「勤める」の例文
- 彼は大手商社に勤めている。
- 私は地元の市役所に勤めています。
- 姉はIT企業に勤めながら資格取得の勉強をしている。
「務める」と「勤める」の違いを整理
両者の違いは「役割を果たすか」「職場に所属するか」という点にあります。同じ「つとめる」でも文脈に応じて適切に使い分ける必要があります。
役割か所属か
- 務める: 与えられた役目や任務を果たす。
- 勤める: 会社や組織に所属して働く。
使い分けの例
- 「彼は市の委員会で議長を務めている。」(役割を果たす)
- 「彼は市役所に勤めている。」(所属して働く)
ビジネスシーンでの正しい使い分け
社会人としては、この二つを正しく使い分けることが大切です。特に書類や面接などでは誤用すると不自然な印象を与える可能性があります。
履歴書や職務経歴書での使い方
履歴書に「○○株式会社に勤める」と書くのが適切です。ここで「務める」を使うと「会社全体の役割を果たしている」という意味合いになり、不自然になります。
会議やプレゼンでの使い方
役割を紹介するときは「私が司会を務めます」と表現します。ここで「勤めます」とすると「司会という会社に所属している」という誤解を生むため誤用です。
日常会話における使い分け
日常生活でも二つの表現は使い分けが重要です。曖昧に使ってしまうと意味がずれてしまうことがあります。
正しい例
- 彼は地元の銀行に勤めている。(所属先を説明)
- 彼は結婚式で司会を務めた。(役割を説明)
誤用例
- 彼は地元の銀行に務めている。(×所属を表す場合は「勤める」)
- 彼は結婚式で司会を勤めた。(×役割を表す場合は「務める」)
類義語との比較
「務める」と「勤める」は他の表現とも混同されがちです。類義語と比較することで理解がより深まります。
従事する
「従事する」は「ある仕事に携わる」という意味で、「勤める」に近い表現です。主に書き言葉で使われ、専門的な職務に携わる印象を与えます。
担当する
「担当する」は「務める」に近い表現で、特定の役割や仕事を引き受けるニュアンスがあります。ビジネス文書でもよく用いられる表現です。
在籍する
「在籍する」は所属している状態を指すため、「勤める」と近いですが、必ずしも仕事をしているわけではない点で微妙に異なります。
英語での表現の違い
英語にするとニュアンスの違いがさらに明確になります。
- 務める: serve, act as, take the role of
- 勤める: work for, be employed at, serve in
例えば「彼は大手企業に勤めている」は "He works for a major company."、「彼は会議で議長を務めた」は "He served as the chairperson at the meeting." と使い分けられます。
使い方の注意点
「務める」と「勤める」を混同すると、場面によっては誤解を招きます。特にビジネスシーンでは「どこに所属しているのか」と「どんな役割を担っているのか」を明確に使い分けることが求められます。
まとめ
「務める」と「勤める」は同じ「つとめる」と読むものの意味は大きく異なります。「務める」は役割や任務を果たすこと、「勤める」は組織に所属して働くことを指します。
履歴書や会話で適切に使い分けることは、社会人としての基本的な言語スキルです。誤用を避け、状況に応じて正しく使えば、文章や会話が一層洗練され、相手に伝わりやすくなります。



