ビジネス

2025.08.28 13:00

職場文化が人材定着と生産性を左右する――優れた職場と機能不全の職場の決定的な違い

JLco - Julia Amaral / Getty Images

JLco - Julia Amaral / Getty Images

職場の文化は組織にとって追い風にも逆風にもなりうる。アメリカ連邦航空局(FAA)の状況がその典型例だ。同局は数千人分の欠員を埋めるべく航空管制官の訓練を進めているが、ワシントン・ポスト紙が先月伝えたところによると、研修生の一部は「場当たり的な指導、組織の機能不全、虐待的な環境」と形容した状況に耐えるより、みずから辞める道を選んだという。

advertisement

同紙は「同局が雇用する認定管制官は約1万1500人で、目標から約3000人不足しており、その影響は国内ほぼすべての空港に及んでいる。独立機関によるシステムの検証では、慢性的な人員不足が安全を危険にさらし、管制塔が人手不足の際には便の遅延を招くとされる。また、管制官には疲労や燃え尽き症候群を助長する過酷な残業が強いられている」と報じた。

企業社会においても、職場文化は従業員の維持を支えることもあれば、内部危機の温床となることもある。企業がどのような文化を持っているかを見極める手段はいくつもあり、手遅れになる前に改善を促す警告サインも存在する。

成功要因

全米人材管理協会(Society for Human Resource Management)は、好ましい職場文化を形づくる要素として、(1)誠実で偏りのない経営、(2)礼節ある行動、(3)意義ある仕事と成長の機会、(4)開かれたコミュニケーション、(5)共感の5つを挙げている。

advertisement

HR TransformedのCEOアリンズ・メレンデスはメールで「企業文化には多くの要因が影響しますが、結局はビジネスリーダーの行動に集約されます。最高の職場とは、リーダーがスタッフと時間をかけて対話し、意図を持って耳を傾け、重要な取り組みを最後までやり遂げ、従業員が自由に発言できる安心感を与え、人材に投資し、透明で効果的なコミュニケーションを行う職場です」と述べた。

優れた職場文化の例

カルチャーと人材に関するコンサルティング企業QulturedのCEOで非常勤最高カルチャー・タレント責任者アヌ・マンダパティはメールインタビューで、優れた職場文化を持つ企業としてソフトウェア企業アトラシアン、CRM企業ハブスポット、アウトドア用品メーカーのパタゴニアの名前を挙げた。

マンダパティによれば、アトラシアンは意思決定の進め方を明確にする内部プレイブックによってチームの足並みをそろえている。ハブスポットは心理的安全が偶然に任されないよう、新入社員を含む全従業員に入社初日からフィードバックの与え方と受け方を教えている。パタゴニアは、柔軟な勤務制度から社会活動への有給休暇に至るまで、企業の使命を各種制度に深く織り込んでいるという。「こうした文化が機能するのは、従業員が自分に求められていることを理解し、リーダーとして信頼され、自分の仕事が四半期ごとの目標を超えた大きな目的とどう結びついているのかを実感できるからです。そのため、これらの企業は最も忠誠心が高く、勤続年数の長い従業員を抱えています」とマンダパティは説明した。

次ページ > 経営リーダーが知るべきこと

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事