宇宙

2025.08.24 10:30

時価総額1兆円超の米ファイアフライ社、北海道からのロケット打ち上げ計画で合意

(c)Firefly Aerospace / Trevor Mahlmann

(c)Firefly Aerospace / Trevor Mahlmann

8月18日、民間ロケット射場である北海道スペースポート(HOSPO)を運営するスペースコタンが、米国の宇宙開発企業ファイアフライ・エアロスペース(以下、ファイアフライ社)と基本合意書(MOU)を締結した。これにより両社は、ファイアフライ社の小型ロケット「ALPHA」(全長29.5m)を、北海道スペースポートから打ち上げることについて検討する段階に入った。

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この施策が実現すれば、海外の商業ロケットを日本で運用する初の事例となる。スペースコタンは今後、ALPHAロケットの打ち上げに必要なシステム要件や、規制要件を評価する作業を開始する。

ロケットの需要が世界的に高まるなか、国内民間ロケットの開発はいずれも遅延した状態にある。その結果、国内商業衛星の打ち上げは海外ロケットに依存し、その資本が海外に流出し続けている。この状況において黒船ロケットの来航は、日本の宇宙産業に新たな刺激を与えそうだ。

2025年4月29日に打ち上げられたALPHAの6号機。ロッキード・マーティン社の衛星を打ち上げたが、第2段分離時のトラブルにより軌道投入に失敗(c)Trevor Mahlmann / Firefly Aerospace
2025年4月29日に打ち上げられたALPHAの6号機。ロッキード・マーティン社の衛星を打ち上げたが、第2段分離時のトラブルにより軌道投入に失敗(c)Trevor Mahlmann / Firefly Aerospace

ファイアフライの時価総額1兆円超

ファイアフライ社(テキサス州)とは、月着陸船、軌道上輸送機、小型ロケットの3つの事業を展開する宇宙・防衛企業であり、現在、米国において最も勢いのある宇宙開発企業のひとつとされる。2025年3月、月輸送機「ブルーゴースト」を月面に着陸させたことで同社の名は広く知れ渡った。この月面着陸は民間機として史上2例目とされる。

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2026年には月の裏側に「ブルーゴースト2」、2028年には「ブルーゴースト3」を打ち上げる予定であり、さらに今年7月29日には、「ブルーゴースト4」を2029年に月南極に送る契約をNASAと締結した。これらはすべてNASAの事業「商業月面ペイロードサービス(CLPS)」の契約によるもので、タスクオーダー制に基づくその契約金額は最大7億3130万ドル(約1090億円)にのぼる。

2025年3月2日、月面着陸に成功した「ブルーゴースト」が撮影。これより先に着陸に成功した民間機NOVA-C(IM社)は横転したが、ブルーゴーストは予定通りの姿勢で着陸し、2週間に渡るすべてのミッションを完了した(c)Firefly Aerospace
2025年3月2日、月面着陸に成功した「ブルーゴースト」が撮影。これより先に着陸に成功した民間機NOVA-C(IM社)は横転したが、ブルーゴーストは予定通りの姿勢で着陸し、2週間に渡るすべてのミッションを完了した(c)Firefly Aerospace
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編集=安井克至

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