8月18日、民間ロケット射場である北海道スペースポート(HOSPO)を運営するスペースコタンが、米国の宇宙開発企業ファイアフライ・エアロスペース(以下、ファイアフライ社)と基本合意書(MOU)を締結した。これにより両社は、ファイアフライ社の小型ロケット「ALPHA」(全長29.5m)を、北海道スペースポートから打ち上げることについて検討する段階に入った。
この施策が実現すれば、海外の商業ロケットを日本で運用する初の事例となる。スペースコタンは今後、ALPHAロケットの打ち上げに必要なシステム要件や、規制要件を評価する作業を開始する。
ロケットの需要が世界的に高まるなか、国内民間ロケットの開発はいずれも遅延した状態にある。その結果、国内商業衛星の打ち上げは海外ロケットに依存し、その資本が海外に流出し続けている。この状況において黒船ロケットの来航は、日本の宇宙産業に新たな刺激を与えそうだ。
ファイアフライの時価総額1兆円超
ファイアフライ社(テキサス州)とは、月着陸船、軌道上輸送機、小型ロケットの3つの事業を展開する宇宙・防衛企業であり、現在、米国において最も勢いのある宇宙開発企業のひとつとされる。2025年3月、月輸送機「ブルーゴースト」を月面に着陸させたことで同社の名は広く知れ渡った。この月面着陸は民間機として史上2例目とされる。
2026年には月の裏側に「ブルーゴースト2」、2028年には「ブルーゴースト3」を打ち上げる予定であり、さらに今年7月29日には、「ブルーゴースト4」を2029年に月南極に送る契約をNASAと締結した。これらはすべてNASAの事業「商業月面ペイロードサービス(CLPS)」の契約によるもので、タスクオーダー制に基づくその契約金額は最大7億3130万ドル(約1090億円)にのぼる。



