宇宙

2025.08.24 10:30

時価総額1兆円超の米ファイアフライ社、北海道からのロケット打ち上げ計画で合意

(c)Firefly Aerospace / Trevor Mahlmann

ZEROとALPHA

インターステラ社のZEROとファイアフライ社のALPHAは、使用する燃料以外はほぼ同等のスペックを持つ。ZEROは全長32mの2段式ロケットであり、推進剤には液化メタン(燃料)と液体酸素(酸化剤)を使用。その打ち上げ能力は低軌道(LEO)へ1000kgとされる。

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一方、ファイアフライ社のALPHAは全長29.5mの2段式ロケットであり、燃料にはRP-1と呼ばれるケロシンと、酸化剤として液体酸素を使用する。その打ち上げ能力は低軌道へ1030kgとされる。

ファイアフライ社、ロケットラボ社、インターステラ社などの主要ロケットのサイズ比較(c)SpaceOne/RocketLab/Firefly/IST/JAXA/SpaceX
ファイアフライ社、ロケットラボ社、インターステラ社などの主要ロケットのサイズ比較(c)SpaceOne/RocketLab/Firefly/IST/JAXA/SpaceX

インターステラ社のZEROの開発と、北海道スペースポートのLC-1の建設が進んでいることによって、運営会社であるスペースコタンによるファイアフライ社の誘致もスムーズに進んだはずだ。海外ロケット事業者を誘致し、専用射場のニーズにも対応することは、スペースコタンの当初からの構想であり、7月12日には台湾出資本のロケット開発企業によって準軌道ロケットも打ち上げられている。こうした誘致によってスペースコタンは、北海道スペースポートをアジア圏におけるロケット拠点にすることを目指している。

また、インターステラ社とファイアフライ社は、より大型のロケット開発にも着手している。ファイアフライ社の「ECLIPSE(エクリプス)」は、全長59mの2段式の中型ロケットで、低軌道へ1万6300kg、静止トランスファ軌道(GTO)へ3200kg、月(TLI)へ2300kgを運ぶ。現時点でその初フライトは2026年後半が見込まれている。インターステラ社のDECAの詳細は明らかにされていないが、公表されているイラストからは全長43m程度の中型ロケットを想定していると思われ、2030年代の実現を目標としている。

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北海道スペースポートを活用する国内外の事業者が増え、また、その事業者のロケットが大型化していくことによっても、将来的には同港の射点がさらに増え、その規模はますます拡張されていくに違いない。

編集=安井克至

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