北米

2025.08.21 15:00

移民や留学生の受け入れなしでは「米国大学の多くが閉鎖危機」、雇用機会の減少も 報告書

教員職143人を解雇したウェストバージニア大学(Shutterstock.com)

厳しさ増す大学経営

米国の多くの大学は、すでに財政問題を抱えている。米紙ワシントン・タイムズは、公立大学が2023年に「1980年以来最も急激な授業料収入の減少を経験し、その一因は入学者数の急減にある」と報じた。「秋からの新学期の入学者数と授業料収入が減少する中、数十の地方の大学や私立大学は今夏、予算の不足を補うために職員数を減らし、プログラムを廃止した」とある。 高等教育関係者向けの米国専門誌クロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーションは、2023年にはウェストバージニア大学が28のアカデミック・プログラムを廃止し、「世界言語・文学・言語学の学科などの教員職143人を解雇した」と報じた。

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NFAPの調査は、米国で生まれた移民の子どもたちが米国の大学にとって重要であることを浮き彫りにしている。米国の学部生の約4人に1人、大学院生の約7人に1人が移民2世だ。「多くの大学は、米国で学びたがっている留学生だけでなく、米国残留を希望する移民とその家族にも依存している」とザボドニーは言う。

今年、国務省は留学生を取り締まり、些細な法律違反を理由に有無を言わさず米国からの退去を命じて大学や学生らを慄かせた。各地で起きた訴訟で国外退去を差し止める判断が示され、その結果、トランプ政権はこれらの学生の滞在資格などを取り消さないことに同意した。米国際教育交流団体のNAFSAは、トランプ政権による19カ国の国民の入国禁止やビザ(査証)の取得に必要な面接の停止、面接予約の制限により、今秋入学する留学生は30〜40%減少する可能性があると予想している

NFAPの報告書は、米国への留学を可能にするビザ政策と、留学生が卒業後も米国に残って働けるようにする政策の重要性を指摘している。オプショナル・プラクティカルトレーニング(OPT)制度は留学生や雇用主に人気だ。この制度では、学生は卒業後に選択した分野で実践的な訓練を積むために1年間働くことができる。STEM OPTの制度では、科学や技術、数学の分野で学位を取得した学生はさらに2年間就労の期間を延長できる。

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米移民局(USCIS)の新局長は人事を審議する公聴会で、OPTとSTEM OPTの制度で留学生が卒業後に働けないようにする考えを示した。トランプ政権は、留学生のH-1Bビザ(高度な専門技能をもつ米国外の人材が対象)取得を、今以上に難しくする可能性が高い。また、留学生が認められた期間を超えて米国に留まることを希望する場合、延長許可の取得を義務付ける考えだ。

NFAPの報告書は、高等教育の学費を懸念する政策立案者は、留学生が一般的に米国人学生よりも高い学費を払っていることから留学生を歓迎すべきと指摘している。留学生に影響する政策を含め法律での移民規制は、米国人や多くの議員が自身の地元や有権者にとって不可欠だと考えている大学周辺のコミュニティに、悪影響を及ぼす可能性がある。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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