今後は水産庁の参加にも期待
今回の国連海洋会議に、日本政府からは外務大臣政務官と環境大臣政務官が参加したが、水産庁の代表は不参加だということが開催前に確認されていた。
そこで筆者は、小泉進次郎農林水産大臣からメッセージを預かり、登壇者として選ばれていた「Transparency, Will, and Progress: The Pillars of Action and the IUU-AA Journey So Far(透明性、意思、進歩:行動の柱と『IUU(違法・無報告・無規制)漁業アライアンス』のこれまでの歩み)」と題された公式サイドイベントの壇上で披露した。
小泉農林水産大臣のメッセージでは、日本政府がIUU漁業撲滅のためにP S M A(寄港国措置協定)に批准していること、2022年に水産流通適正化法を施行したこと、昨年そのレビューを行い対象魚種の拡大に向けて議論したこと、大臣として水産物の持続可能性を高め海業を推進すること、IUU-AAの加盟各国との更なる協力を惜しまないことなどが述べられていた。
この「Transparency, Will, and Progress: The Pillars of Action and the IUU-AA Journey So Far」のパネルは、IUU漁業の撲滅を目指してアメリカ、イギリス、カナダの主導で2022年に発足した33カ国が参加する「IUU漁業アクションアライアンス」によって主催された。
冒頭、イギリス政府とカナダ政府がスピーチし、パネリストには国家代表としてチリ政府、ニュージーランド政府、パナマ政府、NGO代表として「Environmental Justice Fund」、世界最大の海洋NGO「OCEANA(オセアナ)」、筆者が率いる「セイラーズフォーザシー日本支局」という顔ぶれが選ばれた。
IUU(違法・無報告・無規制)漁業は世界の水産資源と水産業の脅威であり、これらの「犯罪」は表面には見えないからこそ世界が一丸となって戦わなければならないことを確認した。このアライアンス(同盟)に日本政府はまだ参加を見送っているが、筆者ら民間の参加組織は各方面への橋渡しに努力を惜しまないところだ。
そもそもわが日本には、EU政府やアメリカ、カナダ、韓国などの主要国のような「海洋省」は存在していない。そのため国際会議への参加も各省庁が分業するかたちとなっている。
この国連海洋会議に先立ち、今年の4月28日から3日間にわたり韓国のプサンで開催された「アワオーシャンコンフェレンス(Our Ocean Conference =私たちの海洋会議)」には内閣府のみが参加し、今回の国連海洋会議では外務省と環境省が参加したのだが、水産庁は立て続けに不参加だった。
しかも各省庁は自分の管轄外の案件には触れられないことになっている。日本も、国を代表する海洋関係の成長戦略を包括的に遂行できる体制を組織するべきではないか。
世界情勢もわが国の国政も不安定な昨今、日本の国益を守ることは当然重要だが、地球を守らずして国を守れるのか、今回の国連海洋会議もわれわれ一人一人に問いかけているのだ。


