ほとんどの人は生まれつき、自分と他者をどうしても比べてしまう。こうした傾向は、社会心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した「社会的比較理論」で説明がつく。この説が示唆するところでは、私たちは自らの価値を、自分と他者を比較することで決めている。
他者が挫折を経験すると、私たちはそれに対して、共感や同情などさまざまな感情を抱く。他者の不幸に喜びを感じることすらある。他者が苦痛を覚えていると知ってうれしくなるなんて、と驚くかもしれないが、あなたが思うほど珍しいことではない。そうした感情は、自分より劣っていたり不幸だったりする人と自分を比べる「下方比較」という傾向に由来する。
例えば、自分より貧しい人と自分を比べるといった下方比較をすると、自分の生活はそれよりマシだと感じることが多い。これは、微妙な、時には無意識のうちに作動する対処メカニズムであり、とりわけ、自分に自信がもてないときに生じるものだ。
他者の不幸に喜びを感じることを「シャーデンフロイデ」と呼ぶ。「ダメージ」を意味するシャーデンと、「喜び」を意味するフロイデを組み合わせたドイツ語だ(編注:日本語の「人の不幸は蜜の味」に近い)。
シャーデンフロイデがよく生じるのは、人と人とが競い合う場面だ。例えば、上司にこびへつらっている同僚が、仕事でうまく成果を出せずに叱責を受けているのを見ると、喜びを感じることがある。
というのも、人には生まれつき、自分自身について満足したいという欲求があり、より良い自己イメージを持つために、自分より恵まれない状況にある他者と自分を比べることが多いからだ。従って、自分の価値が脅かされていると感じている人の方が、シャーデンフロイデが生じやすい。
ほかの人が苦しんでいるのを見て幸せを感じるのはなぜか、主な理由を2つ説明しよう。



