サイエンス

2025.08.23 13:00

人の不幸は蜜の味、あなたにも「シャーデンフロイデ」が生じる「2つの理由」と克服法

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1. 競争している時は、シャーデンフロイデで自尊心が高まる

ほかの人が失敗すると、いけないことだと思いつつも喜びを覚えてしまうのはなぜか。2017年に『European Journal of Social Psychology』で発表された研究が、この疑問に対する答えを探っている。

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研究では、シャーデンフロイデによって、4つの基本的な心理的欲求が満たされるかどうかを検証した。4つの心理的欲求とは、「自分を肯定したいという欲求」「物事をコントロールしたいという欲求」「帰属欲求」「意義ある存在でありたいという欲求」だ。

実験は4つ実施され、すべてが同様の結果を示した。シャーデンフロイデは実際に、「比較することで、自分の社会的地位を再確認したい」という基本的な欲求を満たしてくれることがわかった。それが特に顕著なのが、嫉妬心を抱くライバルと自分を比べたときだ。

1つ目の実験では、研究参加者に対し、大学時代に最もライバル視していた人物が、同じ就職面接に参加していたという場面を想像するよう指示した。この面接で採用されるのはたった1人だ。その結果、非競争的な場面よりも競争的な場面の方が、参加者にシャーデンフロイデが生じて、満足したいという欲求が強くなった。参加者は、より主導権を握っているという感覚が強くなり、自尊心が増し、帰属意識も高まったという。

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別の実験では、参加者に対して、自分の競争相手が失敗した実体験を思い出すよう指示した。この場合もまた、シャーデンフロイデが強く生じれば生じるほど、自尊心が増し、自分がその場をコントロールしているという感覚や、自分は意義ある人生を送っているという思いが強くなったことがわかった。

「自分は他の人より劣っている」という感情を遮断

他者が失敗したり苦しんだりする姿を目にすると、少なくとも当面の間は、「自分は他の人より劣っている」という感情を遮断できる。人生がどうにもならない状況に陥った時、同じような状況や、それよりひどい状況にある他者を目にすると、自分の現状はあくまでも、人類に共通する不完全さが関係しているのであって、自らが犯した失敗のせいではないように思えてくる。これが特に当てはまるのは、競争の激しい場面だ。

私たちはみな、自分の人生は「なんとかうまくいっている」と信じたいものだ。そして、他者が自分よりもひどい状況にあると、自分が劣っているわけではないことが確認できるわけだ。

2. シャーデンフロイデによって、世界は公正だと再確認できる

興味深いことに、2013年に『Australian Journal of Psychology』で発表された別の研究で、シャーデンフロイデと、「世界は公正だ」という信念のあいだに関連性があることが明らかになった。

世界は公正だという信念が揺らぐと、人は、他者が不運に見舞われたときに、より強い喜びを感じたという。例えば、人が「当然の報いを受ける」物語を耳にすると、人はそれをより面白がることがある。

被害者を非難したり、自業自得だと考えたりする

その理由は、世界は公正だという信念を取り戻したい、と考えるからかもしれない。そうした信念を持つ人は、善良な人には良いことが起き、不運はそうなってしかるべき人に訪れると考える傾向が強い。被害者を助けられない場合、代わりに被害者を非難したり、被害者は自業自得だと考えたりすることがある。そうすることで、被害者に降りかかった不運を正当化しているのだ。

しかしながらこれは、被害者が受けるべくして罰を受けたとか、その結果に責任があることを必ずしも示しているわけではない。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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