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2025.09.05 10:15

銀メダルなのに銅メダル以下に感じてしまう「比較」の心理学

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オリンピックの金メダリストが幸せの頂点にいるとして、2位の銀メダリストと3位の銅メダリストでは、どちらがより満足しているでしょうか? 

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イギリスの名門ブリストル大学で、単位にならないのに学生が殺到する伝説の授業を受け持つブルース・フッド教授の著書『LIFE UNIVERSITY (ライフ・ユニバーシティ) もし大学教授がよい人生を教えたら』(サンマーク出版)から、私たちを不幸にする「比較」の心理メカニズムについて一部引用・再編集してご紹介します。


「2位」より「3位」のほうが気分がいい

想像してほしい。

あなたはオリンピックの表彰台に立って、観衆の喝采を浴びながら、自国の国旗が揚がっていくのを見ている。長年の練習と苦痛、努力がとうとう実を結び、あなたの成功は世界最大のスポーツの祭典で認められようとしている。

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だが表彰式は、すべてのメダリストにとって幸せな瞬間とは限らない。

1992年バルセロナオリンピックのメダリストに関する有名な研究によれば、とくに銀メダリストが、自分の成功に不満を持っていた。

この研究では、メダルが確定した瞬間と、実際の表彰式の瞬間のビデオ映像を精査して、メダリストのほほえみとボディランゲージから心理状態を読み取った。

その結果、どちらの瞬間でも、金メダリストと銅メダリストはとても幸せそうだったが、2位に終わった銀メダリストは最も不満そうな表情とボディランゲージを見せた。

この傾向はとくに、思いがけなくメダルを手に入れた銅メダリストと、金メダルをめざしていた銀メダリストに当てはまった。

銀メダリストは、「こうすればよかった、ああすればよかった」と考えながら、まるでエビングハウス錯視のリアル版のように、自分を銅メダリストとではなく、さらに成功した金メダリストと比べていた。

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文=ブルース・フッド/ブリストル大学心理科学部発達心理学教授、訳=桜井祐子/翻訳家

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