ヘルスケア

2025.09.05 10:15

銀メダルなのに銅メダル以下に感じてしまう「比較」の心理学

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一方、表彰台に立てると思っていなかった銅メダリストは、メダルを取れなかったほかのアスリートたちと自分を比べていた。

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オリンピックメダルの順位は、本来ならパフォーマンスの客観的指標になるはずだ。だが、それを「どうとらえるか」は、人によって違う、主観的な判断だ。

そして、人生や人間関係での成功といった、それよりずっと定義しにくい尺度での競争は、さらに評価が難しい。

人生の成功の尺度は、オリンピック競技でのスピードやタイム、重量、距離などの指標よりもはるかに主観的である。

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私たちは自分の失敗と成功を振り返る時、自分を「誰」と比べるのだろう? 成功のどの側面をとってみても、自分よりうまくやっている人はいる。

過度に自己中心的な視点

一般には、「自分と似た人」と比べる傾向にあるが、そうだとしても比較対象は自分で選んでいる。恋愛の成功を親友と比べ、仕事の成功を上司と比較する。だが、他人の人生の全容を知ることはできないから、おのずと推測に頼ることになる。

問題は、あなたが比較対象とする人々の中には、あなたよりも成功している人が必ずいるということだ。

また、あなたの目から見て客観的に成功している人でさえ、さらに成功している誰かと自分を比べている。

これこそが、過度に自己中心的な視点の問題である。

注意が自分に向かっているから、人々を相対的に比較することをせず、あくまで「自分」を人と比べる。トップクラスの学者やアスリート、ビジネスマン、俳優、有名人といった、目立つ人や思い浮かびやすい人と自分を比べれば、劣等感を持つに決まっている。

そういう優れた人たちでさえ、自分を誰かと比べて劣等感を持つことがある、などとは気づきもしない。成功者でさえ、人知れず何かに悩むことは多い。「完璧な人生」を送る人など誰もいない。

なのに、私たちが比較する際に目に入るのは、業績や能力、ルックス、人気などの側面で、自分よりも優れた人たちだけだ。

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文=ブルース・フッド/ブリストル大学心理科学部発達心理学教授、訳=桜井祐子/翻訳家

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