米旅行業協会(USTA)のエリック・ハンセン政府関係担当上級副社長はフォーブスに対し、「議会指導部は、外国人観光客は投票しないため、法案(トランプ政権が推進した歳出法案「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」)の資金調達のために観光客の負担が増えることは、いかなる政治的代償も伴わないと考えたのだと思う。しかし問題は、それが米国企業にとって大きな経済的代償を伴うことだ」と述べた。
議会の想定は「間違い」
ハンセンは「議会は、全世界が対象(※)となるこのビザ料金が、インドやブラジルのような国からの訪問者に大きな影響を与えないと想定するという間違いを犯した」と指摘。「こうした机上の空論的な公共政策立案は、大きな混乱を生む」と述べた。(※編集者注:「ビザ・インテグリティ料金」は、ビザ免除プログラムの対象である日本などには適用されない)
特にインドは、現在の米国への訪問者数が2019年の水準を上回っており、米国内のインバウンド需要において「明るい部分」となっていると、ハンセンは説明した。一方で他のほとんどの国は、米国への訪問者数が新型コロナウイルス流行前の水準に戻っていないという。米商務省の国家旅行観光局によると、2024年のインド人観光客による国内消費は約133億ドル(約1兆9500億円)に達した。
「旅行者が増加している国に250ドルの手数料を適用することは、信じがたいことだ。われわれの調査では、それが間違いなく旅行を思いとどまらせることが分かっている」とハンセンは述べた。
返金は「可能」だが実際には困難
議会は、ビザ・インテグリティ料金が「返金可能」だとしているが、実際に返金を受けるのは簡単ではない。トランプ政権の歳出法案「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」の規定では、ビザ保有者がビザのすべての条件を順守すれば、ビザの有効期限が切れた後に国務省が手数料を「払い戻しできる」とされている。しかし、ほとんどの観光ビザは10年間有効であることをハンセンは指摘。「政府にお金を払い、たとえルールに従ったとしても、10年間待った後に払い戻し請求することを覚えていなければいけないというのは、全くもってばかげている」と述べた。
実際CBOは、非移民ビザ申請者の多くは手数料を支払ってから数年経たないと払い戻し請求資格が発生しないため、結果的に「払い戻しを求める人は少数だろう」と推測している。つまり、CBOは払い戻し手続き自体が難しいことを十分承知しているということであり、手続きが「たとえ簡単だとしても、10年後に払い戻しを求める人は多くないだろう」とハンセンは説明した。もう一つの懸念事項は、ビザ・インテグリティ料金制度が、払い戻しの仕組みを考えることなく法案に追加されたことだ。CBOは「国務省が返金プロセスを導入するには数年を要するだろう」としている。


