経済・社会

2025.08.15 17:15

日本人が減っているあの国と、「ヤシの木」型のビーチで移住者を増やすドバイ

Felix Lipov / Shutterstock.com

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コロナ禍以降、世界における日本人滞在者数に変化が生じている。外務省の統計によれば、これまで日本人の在留先として上位を占めてきた国々では、邦人の数が減少に転じているのだ。

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世界で最も在留邦人が多いのはアメリカで、ピークは2017年。44万6950人だった。しかし、2018年以降、減少傾向にあり、コロナ禍となった2020年以降、大きく減少。最新版(2024年)で41万3380人。7年間で3万3570人がアメリカを去った。

また、中国の在留邦人数のピークは、13年前の2012年。約15万人の日本人が中国で暮らしていたが2024年に9万7,538人に減少した。

米中の両方ともコロナの影響が大きいがそれだけではない。

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その背景には日本人の人口減少、渡航者数の減少があるが、アメリカの場合は、オンラインの発達により企業の駐在が減少。また、物価高と治安の悪さから帰国した人たちの声も聞こえてくるようになった。一方、中国は日中関係の政治的な影響や、中国の経済成長の鈍化が理由として推測されている。

逆に在留邦人が増えている国がある。オーストラリア、カナダ、シンガポール、ドイツ、韓国、フランスである。

米中に比べて母数こそ少ないけれど、前年比5%前後のペースで2年連続の増加となった国がある。アラブ首長国連邦(UAE)だ。日本人数は世界27位で、現在、4775人が暮らす。その背景には、ドバイ不動産市場の活況がある。

現地で不動産事業を展開する国際企業Driven Propertiesのパートナーであるフセイン・ナジーフ氏と、日本支部代表・児山真悠子氏に話を聞いた。

不動産価格が上昇、日本人の投資も拡大

ドバイの不動産市場は、ここ数年で急速に活気を取り戻している。Driven Propertiesによると、2024年は日本チーム単体だけで取引件数100件、売上げは186億8896万円。手数料ベースで前年の1.5倍に拡大したという。購入者の約8割は投資目的で、完成前の物件を購入し、完成後の賃貸収入やキャピタルゲインを見込むケースが大半を占めている。

こうした投資熱と歩調を合わせるように、UAEに居住する日本人の数も増加傾向にある。

まず特筆すべきは、圧倒的な税制上の優遇措置である。個人所得税がゼロであるうえ、キャピタルゲインや賃貸収入にも課税されない。2023年から法人税が9%に引き上げられたものの、個人に対しては依然として非課税が維持されている。

治安の面でもドバイは世界有数の評価を得ている。2023年の世界都市安全度ランキングでは第7位にランクインし、首都アブダビやシャルジャも上位を占める。加えて、英語で質の高い教育が受けられるインターナショナルスクールが豊富で、子どもの将来を見据えた教育移住の選択肢としても注目されている。

ドバイの通貨ディルハムは米ドルにペッグされており、為替リスクが低い点も投資家にとっては魅力だ。不動産の利回りも高く、ネットで平均5%とされ、東京の約3%と比較しても優位性がある。

また、約8000万円相当の物件購入で取得可能な10年間有効のゴールデンビザも、移住を後押しする要因となっている。頭金(物件購入価格の20%)と政府土地局に支払う登記料(物件価格の4%)を申請すれば、家族も対象となるため、ハードルは決して高くない。さらに、ビットコインをはじめとする暗号資産による物件購入が可能である点も、新しい世代の投資家たちから支持を集めている。

ドバイの人口の8割は外国籍で、200を超える国と地域から人々が集まっている。宗教や文化への寛容さも高く、誰もがマイノリティにならずに暮らせる包摂性の高さは、国際都市としての魅力をさらに引き立てている。政府主導によるインフラ整備も急ピッチで進んでおり、大型モールや高層ビル、人工島の開発が次々と実現されている。年間30万人超のペースで増加する人口とともに、都市そのものが拡張と進化を続けている。

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文=雨宮百子

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