欧州

2025.08.15 09:00

ウクライナがドローンAI制御キットを3万個超調達へ ロシアの優位性崩せるか

オーテリオン社の自律飛行制御キット「Skynode S」を搭載したドローン(無人機)。2025年6月17日、台湾・宜蘭(Annabelle Chih/Getty Images)

Skynode Sは、ウクライナ軍がドローン戦力全体にAI能力を付与していくことに寄与するものであり、当初は主にロシアの攻撃ドローンによる脅威への対処に使われるとみられる(編集注:オーテリオンのローレンツ・マイヤー最高経営責任者によると、このシステムは地上目標の攻撃だけでなくドローンの迎撃にも利用できる)。納入は2025年内に完了することが見込まれており、ロシアのドローン・電子戦能力の拡充に対抗するため、米国がウクライナにこのシステムを装備させることを急いでいることがうかがえる。

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ドローンの優位性争いへの影響

戦争研究所は報告書のなかで、ロシアのドローン技術は今年大きく進歩し、夏季攻勢でも明らかにロシア軍に戦術的優位をもたらしているとの見解を示している。こうした進歩には、光ファイバー経由で通信するタイプのドローンの使用を増やしていることや、ドローン制御用のソフトウェアに限定ながらAIを実装していることが含まれる。

戦争研究所によると、ロシア軍は「戦場航空阻止」(編集注:前線のすぐ後方の目標を航空戦力でたたき、短期的に戦場に影響を与える作戦)を行う能力を獲得し、兵站補給に使われる道路や鉄道、橋、さらには補給拠点、指揮所、兵員集結地などを効果的に攻撃できるようになった。ロシア軍は以前はこの能力を発揮できていなかった。前線近くの後方にあるこうした目標を攻撃する目的は、短期的にウクライナ側の防御を混乱させ、自軍による攻撃の機会をつくり出すことにある。

ロシア軍はいくつかの正面で、ドローンの力を得て前進を遂げている。東部ドネツク州ポクロウシク方面では、ウクライナ軍部隊への補給に使われる複数の幹線道路をロシア軍のドローンが十分な支配下に置いたことで、地上部隊が何カ月にもわたる過酷な攻撃の末に大きな前進を果たした。その北東のリマンやシベルシク方面でもロシア軍の光ファイバードローンがウクライナ軍部隊を攻撃し、ロシア軍がさらに前進できるようにしている。また、北東部スーミ州では、サーモバリック弾頭を搭載したドローンがウクライナ軍の塹壕や防御陣地の破壊に使用されている。

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ロシア軍はこのほか、前線近くの都市にある訓練施設や新兵募集センター、軍需工場をドローンで探し出し、その後、ミサイル攻撃や砲撃を加えて破壊している。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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