ヘルスケア

2025.08.21 07:15

思春期のオンラインゲーム中毒は放置しない。メンタルヘルス不調との関連性

Getty Images

Getty Images

思春期の子どもたちがオンラインゲームを止められない、中断するとイライラする、憂さ晴らしにプレイする、のめり込んでいることを隠すために嘘をつくなどの行動が見られたら要注意だ。その子の心が壊れてしまう恐れがある。不適切なオンラインゲームの遊び方がメンタルヘルスの不調を招く因果関係が明らかになった。

advertisement

この「不適切」とは「問題あるオンラインゲーミング」という意味で、前述のとおり、途中で止められない、止めるとイライラするといった、依存症的にのめり込んでしまう状態を言う。そこで国立精神・神経医療研究センター、東京都医学総合研究所、東京大学からなる研究チームは、2002年から2004年に生まれた思春期児童3171人を対象に、10歳からの追跡調査を行った。

調査では、14歳時点でオンラインゲームの不適切利用をしていた子どもは、2年後(16歳時点)、それが抑うつ、不安、精神症(幻覚や妄想など)、幸福度低下とどう影響したかや、12歳時点で注意欠如多動症(ADHD)だった子どもは、それが2年後(14歳時点)のオンラインゲームの不適切利用にどう影響したなどを検証した。その際、性別、知能指数、親の年収などの影響を取り除き、信頼性の高い統計データが得られるようにした。また、もともとメンタルヘルス不調のある子どもは除外している。

その結果、オンラインゲームの不適切利用により2年後に抑うつ症状が発現するリスクは1.62パーセント、不安は1.98パーセント、精神症は1.72パーセント、幸福度低下は1.54パーセント高くなることがわかった。

advertisement

またADHDの子どもは、2年後にオンラインゲームの不適切なプレイに陥る程度が高く、ADHDがメンタルヘルス不調につながる際に、オンラインゲームの不適切利用が影響した割合が、抑うつ症状で29.2パーセント、不安で12.3パーセント、精神症で20.6パーセント、幸福度低下で22.1パーセントと大変に高かった。悪い相乗効果が現れたわけだ。

これまでもオンラインゲームの不適切利用とメンタルヘルス不調の相関は示唆されていたものの、詳しい調査は行われてこなかった。こうして因果関係が明らかになった今、オンラインゲームの不適切利用が疑われる子どもたちに対しては、早急に適切なサポートを受け、オンラインゲームから距離を置かせることが重要だと研究チームは指摘している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事