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2025.08.16 13:15

社長秘書がIVS優勝!? 社長独占取材

信じ切る者の言葉は、知識よりも強い

IVSで優勝したAKIYOSHI氏のプレゼンは、技術解説ではなかった。観客の心に火をつけたのは、素材に対する盲目的とも言える“信念”だった。

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「僕より素材に詳しい技術者はたくさんいます。でも、誰よりもこの技術を信じている。だからプレゼンが刺さる」と服部氏は語る。

顧客との商談でも同様だという。「営業でも技術者でも、僕の話が一番刺さると言われる。なぜなら、疑っていないから。素材の可能性を心の底から信じて話しているから、熱が伝わる」。

この「信じ切る力」こそが、今のアドバンスコンポジットの最大の強みだ。

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「AKIYOSHIがIVSで優勝したのは、弊社の技術が世界を救うと心の底から信じているから」と服部社長は語る。

銅・アルミを超える性能、世界最大手半導体企業も注目

現在、最も注目されているのが「ACM(アルミ・カーボングラファイト複合材)」という放熱素材だ。これまで放熱の主役だった銅(熱伝導率390W/mk)、アルミ(熱伝導率220W/mk)を遥かに超える最大500W/mKという熱伝導性能を誇る。

しかも熱膨張率がセラミック並みに低いため、電子部品の破損リスクも低減され信頼性が向上する。軽量かつヒートサイクルにも優れ、スマホ、カメラ、パソコン、GPU、航空機、通信設備、半導体装置、EV、そして宇宙開発にまで用途が広がる可能性がある。

すでにシリコンバレーにも噂が広がっており、世界トップクラスの半導体メーカーが試作導入を進めており、「技術資料の性能がそのまま実現されている」と高い評価を受けている。

静岡本社の工場の様子
静岡本社の工場の様子

静岡から世界へ。次の拠点は北米工場

アドバンスコンポジットの現在の工場は静岡にある。年商80億円までは現拠点で対応可能だが、売上はすでに急激に成長している。再来期には関西方面に2工場目、数年以内に北米進出を見据えている。

「当社の素材が活かされる産業はすべて成長市場。今やエアコン、EV、ドローン、半導体のどれもが性能競争の中にあり、放熱や軽量化の素材ニーズは止まりません」と服部氏は語る。

目指すのは、影響力No.1企業

服部氏が見据える先にあるのは、売上や時価総額といった分かりやすい数値の頂ではない。

彼が掲げるのは、「影響力で世界一の企業」だ。

「僕らの素材がなければ、製品が完成しない。そんな立場をとりにいきたいんです。『あの会社からの供給がないと、スマホもGPUも冷やせない』と言われるような存在に」

その延長線上に、NASDAQ上場の構想がある。

すでに複数の海外企業から引き合いが来ており、北米への工場展開を視野に入れる。

複合材がつくる次の時代、日本が主導権を握る未来へ

「素材が文明をつくってきた。」 

石器、鉄器、アルミニウム、セラミック──時代の節目には、常に新しい素材があった。そして今、アドバンスコンポジットが手がける複合材が、その“次”を担おうとしている。

同社の技術は、単一素材では到達できなかった放熱性能を、カーボンとアルミという比較的安価な素材の融合によって実現した。

「地球に豊富にある素材で、レアメタル並みの機能を引き出せる。これが次の素材革命になると確信しています」

静岡の地から、世界の産業構造を塗り替える挑戦が始まっている。

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