2020年から数年で売上29倍に成長
YoungLAの売上高は、2020年の600万ドル(約9億円)から2021年には3500万ドル(約51億円)へと急増した。そして、この時期から隔週ペースの数量限定販売を始め、従来のアクティブウェア以外の商品展開を進めた。これが、その後多くのインフルエンサーとの提携を可能にする上で大きな武器になったとガーマーは言う。
「フィットネス系インフルエンサーがジムにいるのは、1日のうち数時間だけだ。だから外出時に着られる服を提案できることが重要になる」とガーマーは説明する。「フィットネスからライフスタイルに展開を広げるブランドは多いけれど、成功している例は少ない」。
有名選手や著名人との契約でブランド力を強化
YoungLAは、国際的ボディビル大会「ミスター・オリンピア」で6度優勝したクリス・バムステッドなど著名インフルエンサーに割引コードを提供し、売上拡大につなげた。彼らは1投稿あたり2000〜1万ドル(約29万〜147万円)の基本報酬に加え、割引コード経由の売上の15%をコミッションとして受け取っている。
「このマーケティング手法は、インフルエンサーを年間契約で事実上の従業員として取り込み、ブランドの成長を大きく後押しする仕組みだ」と、BMOキャピタル・マーケッツのシニアアナリストのシメオン・シーゲルは分析している。
2022年、YoungLAの年間売上高は前年のほぼ3倍に跳ね上がり、9000万ドル(約132億円)に達した。この時までに、同社は生産プロセスを効率化していた。そして、2023年には売上高が1億5000万ドル(約221億円)に達し、アーノルド・シュワルツェネッガー、ヘビー級ボクシング王者のタイソン・フューリーといった著名人とコラボを開始した。また、Gold’s Gymなどフィットネスブランドとの取り組みも始動した。
在庫を絞る希少性戦略で高い利益率を確保
YoungLAの製造は中国で行われ、デザイン着手から販売開始までに8〜9カ月を要する。同ブランドは現在、毎週8〜10種類の新作アイテムを投入しており、そのうち3〜4種類は発売後すぐに売り切れることが多い。「15分以内に完売する商品もある」とガーマーは語る。
モーニングスターの小売アナリストを務めるデービッド・シュワルツによると、このような希少性を利用した販売モデルは、Supremeを含む「より高級なブランドとしてのイメージを打ち出そうとする」他のストリートウェア企業によって広められたものだという。
「これは『意図的に作り出された希少性』と呼べるものかもしれない。消費者は欲しい商品が値下げされる可能性が低いと分かっているため、定価で買おうとする。そのため、このモデルを採用する企業は高い利益率を得やすい」とシュワルツは分析する。
しかし、数量限定販売で売上を伸ばすには、綱渡りのようなバランス感覚が必要であり、成長を目指す上でリスクも伴う。YoungLAは月ごとの売上目標を達成するため、毎回複数の商品を完売させる必要がある。この戦略では、売上を増やすために在庫を増やしつつ、確実に売り切るために、あえて生産数を絞らなければならない。なぜなら、過剰在庫は値下げ販売につながり、ブランドにとって望ましくないからだ。
「彼らは、百貨店のように継続的に仕入れてくれる小売パートナーがいないため、基本的には自力でやるしかない」と、モーニングスターのシュワルツは述べている。
オンライン発のブランドがリアル店舗へ進出
YoungLAは当面、小売パートナーとの提携に動く計画は立てていないが、年内についにデジタル限定の販売モデルから脱し、リアル店舗を開設する。同社は10月に、ロサンゼルスのウェストフィールド・トパンガモールに旗艦店を構える予定だ。
ガーマーは先日、ロサンゼルス近郊のアリーナに、ある著名なラッパーのコンサートを見に出かけたが、「今ひとつパフォーマンスに集中できなかった」と話す。それは、彼が1万5000人が詰めかけた会場を見渡すと、どの方向を見てもYoungLAの服を着た人が目に入ってくることに気づいたからだった。


