サイエンス

2025.08.14 18:00

世界で最も個体数が多い猛禽類、日本にもいる「トビ」がもつ高い適応力

個体数は全世界で500万羽を超えるというトビ(Shutterstock.com)

個体数は全世界で500万羽を超えるというトビ(Shutterstock.com)

大まかに言うと、猛禽類には3つのグループがある。一つは「タカ目」。このグループは昼行性(昼に活動する)の猛禽類で、タカ、ワシ、トビ、コンドル、チュウヒなどが含まれる。

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もう一つは「フクロウ目」。こちらは夜行性(夜に活動する)の猛禽類で、フクロウのすべての種が含まれる。そしてもう一つが「ハヤブサ目」だ。このグループには、すべてのハヤブサの種が含まれる。このグループも昼行性だが、一般にはワシやタカなどのタカ目とは区別される。

鳥類学者のなかには、それぞれ独自の猛禽類の分類の方を好む人もいるかもしれない。例えば、さらに細かくグループ分けして、新世界のコンドル(アンデスコンドル)やヘビクイワシ、ミサゴの進化上の独特さを強調することもできる。とはいえ上述の説明は、大まかな分け方として役に立つ。

覚えておいてほしいのは、猛禽類とほかのすべての鳥の種とを分ける特徴は、肉食の習性と狩りの能力だ。これには鋭い鉤爪、鉤状のくちばし、すぐれた視覚、強力な飛翔筋などが含まれる。

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ただし、そうした特性は、かならずしも共通の祖先を反映しているわけではない。例えばハヤブサは、ほかの猛禽類の系統よりも鳴禽類(スズメ目)のほうに近い。

すべての猛禽類の種のなかでも、最も個体数の多い種がトビだ。ここでは、世界で最もたくさんいるこの猛禽類の物語を紹介しよう。

(余談:すばらしい鳥たちに夢中になっている? こちらの記事で世界一希少なワシを、こちらの記事では、知られているかぎりでは世界最高齢の現役の野鳥をチェックしよう。)

トビ、希少なグループの一大勢力

個体数が多く、適応力が高く、広い範囲に分布しているトビ(学名:Milvus migrans。トンビとも呼ばれる)は、ユニークな猛禽類だ。猛禽類の多くが人目につきにくかったり、希少だったり、高度に特殊化したりしているのに対し、トビは幅広い環境で栄え、個体数は全世界で500万羽を超えると推定されている。したがって、地球上で最も数の多い猛禽類ということになる。

とはいえ、南北アメリカ大陸ではトビは見つからない。分布域はヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリアの大部分だ。

トビはタカ科に属している。タカ科にはタカ、ワシ、チュウヒのほか、さまざまなトビ類も含まれる。

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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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