気候・環境

2025.08.14 11:30

レジ袋の使用禁止や有料化で海のごみが減少、研究で証明 海洋生物の保護にも

海中に漂うプラスチック製の袋を誤って摂取するウミガメ(Getty Images)

海中に漂うプラスチック製の袋を誤って摂取するウミガメ(Getty Images)

プラスチック製のレジ袋を使用禁止または有料化すると、海岸に捨てられる数が4分の1以上減る可能性があることが、最近の調査から明らかになった。

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米デラウェア大学と米コロンビア大学の研究者が共同で行った調査では、レジ袋政策が施行されている地域では、政策がない地域と比較して、海岸の清掃で回収されるごみ全体に占めるレジ袋の割合が25~47%小さいことがわかった。レジ袋政策を導入している地域では、ごみに絡まった海洋生物の数も30~37%少なかった。これは、米環境保護団体オーシャン・コンサーバンシーが毎年開催している海岸の清掃運動で、ボランティアがごみを回収する際に収集したデータに基づいている。

米国には現在、国全体でのレジ袋政策はないが、地方レベルでは全面的または部分的な禁止、有料化など、さまざまな政策が実行に移されている。今回の研究によれば、プラスチックごみの削減には、政策によって効果にばらつきがあるようだ。例えば、レジ袋の有料化は禁止よりプラスチックごみを減らす効果があるようだが、その理由を解明するにはさらなる研究が必要だという。もう1つの発見は、レジ袋の禁止と有料化は、プラスチックごみ問題がもともと深刻な地域の方が高い効果が得られたことだ。

報告書の共著者アンナ・パップは、米国人の約3分の1が何らかのレジ袋政策が実施されている地域に住んでいるとした上で、今回の調査結果から、こうした政策が海岸沿いのごみを減らすために有効であることが示されたと述べた。「私たちが行った調査は、数百件の政策と数万件もの清掃活動を通して効果を調べた初めての大規模な研究となる。しかし、これは政策がない地域と比較した場合の相対的なごみの減少であることを念頭に置くことが重要だ」

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オーシャン・コンサーバンシーが過去に行った分析では、州政府がレジ袋の禁止を強化したことで、海岸で回収されたレジ袋が29%減少したことが示された。同団体によると、米国人は年間1000億枚のレジ袋を消費しており、こうした使い捨ての袋は平均すると、捨てられるまでわずか12分間しか使用されないという。

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翻訳・編集=安藤清香

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