教育

2025.08.11 11:15

親が知らない通信制高校、生徒の満足度と他人からの偏見

Getty Images

Getty Images

病気や不登校など、さまざまな事情で全日制高校に通えない人たちが、時間や人間関係を気にすることなく自由に勉強できる通信制高校。心の問題を抱える若者への対応を熟知した教員の手厚いケアのもとで安心して学べることから、実際に通信制高校に通った人たちは高い満足感を示している。しかし、まだまだ全日制に通えない若者たちへの世間の目は冷たい。

advertisement

20年近く通信制高校に関わってきた岩田彰人氏が創業し、通信制高校が探せるポータルサイト「Go通信制高校」や「不登校サポートナビ」などを運営するプレマシードでは、これまでたびたび通信制高校に関する意識調査を行ってきた。今年の3月に発表された前回の調査では、通信制高校に対して10代の若者は半数以上が好意的であるのに対して、親世代の半数以上がよくないイメージを持っていることが示された。

これを受けて同社は、現在通信制高校に通っている生徒958人とかつて通っていた34人の合計992人を対象に、「通信制高校における入学前後の行動調査」を実施した。生徒たちの入学前の通信制高校に対するイメージを尋ねると、「自由な時間が多い」、「自分のペースで学べる」、「さまざまな価値観を持つ人と関われる」、「先生や教員に気軽に相談できる」などの期待が多かった。同時に、「自己管理が難しい」、「問題のある生徒が多い」、「卒業後の進路に不利」などのネガティブなイメージも少なくなかった。

これに対して入学後のイメージでは、入学前の期待がほぼそのまま実現されていたばかりか、ネガティブなイメージが大きく減少していることがわかる。実際に入学してみると、思っていたよりもよかったという印象だ。

advertisement

ところが問題は学校の外にある。通信制高校に通っていることへの引け目を感じたり、周りの人に話しづらいことはあるかとの質問では、「よくある」と「ときどきある」が合わせて約6割となった。

このような経験から「通信制高校に通うことを引け目に感じるあまり、もしかすると入学をためらう生徒もいるかもしれません」と代表の岩田氏。「無理して全日制高校に通うよりも通信制高校で自分らしく過ごした方が将来の可能性が開ける場合があります」と指摘する。

通信制高校のイメージを変えたいと願う生徒たちは6割以上にのぼった。馴染めない全日制高校に通い精神的に潰れてしまわないよう、通信制高校でのびのびと自分に合った勉強をする、その選択肢が偏見によって潰されてしまっては、本人にとっても社会にとっても大損害だ。岩田氏は「さまざまな学びの選択肢を積極的に選べる世の中をつくりたい」と述べている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事