7月を通じて明らかになっていた事実が、月末の統計であらためて確認された。ロシアはシャヘド型ドローン(無人機)によるウクライナへの攻撃の規模を引き続き拡大させている。月間の飛来数は初めて6000機を超えた。とはいえ、詳しく見ると、それだけでは全体の状況を伝えていないこともわかる。7月にはドローンの飛来数が増えたにもかかわらず、突破数は前月から減った。ウクライナが急ピッチで配備を進める迎撃用ドローンの効果が表れ始めたようだ。
破壊された集合住宅、燃え上がる建物、地下シェルターに身を寄せる子どもたち──。写真や映像自体が状況を物語っている。ロシアはウクライナの民間人を狙った容赦ないテロ戦争を行っており、ドローンとミサイルによる絶え間ない攻撃でウクライナの士気を打ち砕こうとしている。だが、ウクライナは抵抗している。
数の戦い
ウクライナ空軍はロシアから飛来したドローンの数や、そのうち落とした数などを通信アプリ「テレグラム」のチャンネルを通じて日々発表している。ただ、あとで述べるように報告方法には変化がみられる。
OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのShahed Tracker(@ShahedTracker)のまとめによると、7月のシャヘド型ドローン飛来数は6297機で、6月の5438機から増えた。
しかし、ドローンの攻撃数の増加に合わせて目標への到達数も増えたのかといえば、そうではなかった。7月の突破数は727機で、6月の760機よりも少なかった。
銃砲やミサイル、迎撃ドローンで撃墜するか電子戦で阻止した比率である迎撃率は、6月の86%から7月には88に上昇した。5月は82%まで低下していたが、徐々に改善してきている。
ドローンの発射数が増えているにもかかわらず、ウクライナの防空体制はロシア側が期待していたように追加の負荷で崩壊するどころか、ここへきてむしろ強化されているように見える。
もっとも、注意点もいくつかある。まず第一に、これらの数字はあくまでウクライナ側が発表したものであり、ロシアの支持者たちはプロパガンダだと退けている。一方で、数字が攻撃の規模や頻度に関する現地での観察とも合致しているのは確かだ。



