欧州

2025.08.06 12:30

ロシアが激化させるシャヘド攻撃、ウクライナは迎撃ドローンで対抗 突破数抑える

ウクライナの首都キーウで、ロシアによるドローン(無人機)とミサイルの大規模攻撃を受けたあと、発生した火災の消火活動にあたる国家非常事態庁職員ら。2025年7月4日撮影(Kostiantyn Liberov/Libkos/Getty Images)

理想的な防衛手段はシャヘド並みに安価で大量生産できるものであり、まさにそうしたものとしてウクライナのメーカーが何種類か開発してきたのが迎撃ドローンだ。当初は、改造したFPV(一人称視点)ドローンがロシア軍の偵察ドローンを落とすのに高い有効性を示した。現在では、射程、速度、誘導性能を向上させた高性能の迎撃ドローンがシャヘドを撃墜しており、コストは1機あたり数千ドル程度とされる。数万機が急ピッチで実戦投入されている。

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使用例が報告されている迎撃ドローンには、ワイルドホーネッツの「スティング(STING)」、オーディンの「ウィンヒット(Win_Hit)」、ベネーター・テクノロジーズの「アングリーキャット(ANGRYCAT)」などがあり、ほかにも未確認の機種が投入されている。ウクライナの多様なドローンエコシステムは、寸暇を惜しんで解決策の考案に取り組んできた。

作戦上の機密保全のため、これら新型迎撃ドローンの戦闘の様子を示す画像を目にすることはめったにない。このほど公開された動画では、ウクライナ軍の空対空ドローンがロシア軍のドローンを261機撃墜したと報告されたが、内訳に攻撃ドローンの「ランセット」48機や「モルニヤ」96機が含まれる一方、シャヘドは1機も含まれなかったのは示唆的だ。迎撃ドローンによるシャヘド型ドローンの撃墜に関しては報道管制が敷かれているとみられる。わたしたちにできるのは、公表されている数字を注視することだけだ。

技術開発のいたちごっこ

現状は、ウィンストン・チャーチルの言葉を借りれば、ドローン作戦の「終わりの始まり」などではない。ドローン作戦の終結にはほど遠い。ロシアはすでに迎撃ドローンへの対抗手段に取り組んでおり、それにはジャミング(電波妨害)、自動回避機能、さらにはジェットエンジンを搭載した新型シャヘドなどが含まれる。ウクライナはそれらに対抗する「対・対抗手段」を開発し、迅速に対応することになるだろう。

最終的に、こうした攻撃を止める唯一の方法は、ドローンの製造拠点そのものを叩くことかもしれない。しかし、アラブガにあるシャヘドの主力工場は広大で、敷地面積は7万4000平方m(アメリカンフットボール場約14面分)超あり、従業員は最大4万人あまりにおよぶ可能性もある。そのため、脆弱な機械類の位置に関する正確な情報がない限り、小型弾頭のドローンでは難しい目標となっている。

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ドローン戦は今後も続くことになる。ウクライナもロシアの石油貯蔵施設や鉄道などに対するドローン攻撃を強化しており、それに対するロシアの防空体制はウクライナ側よりもかなり効果が低いように見える。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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